かわいそうな犬たちよ、君たちは中国で生まれるべきではなかった

【大紀元日本12月23日】最近の中国では養許可証がない犬や野良犬が集中的に収容され、引き取り手のない犬は30日内に規定に基づいて処理されるという。この「規定に基づいて処理」というのは、「捕まえて殺す」ことを意味する。ペットの犬の飼い方などを定める「上海市養犬管理条例(草案)」の公聴会が行われ、上海市人民代表大会で決議された内容だ。

 上海公安部門の推定したところによると、上海における無許可証の犬の数は60万匹を大きく上回る。また、2006年以降の犬による攻撃事件は毎年10万件にのぼり、昨年はおよそ14万件近くにまで増えたという。

 一方、どんな理由にせよ、「犬は人を噛む恐れがあるので殺されるべきだ」という考え方は、「包丁は人を切る恐れがあるので取り締まるべきだ」という話と同じではないだろうか。犬にも、尊い命があるのだ。

 当案が発表された後、上海のある記者は自分のブログの中で、ある投稿者からのコメントを載せた。「私が医者として気づいたことは、本当に人を傷つける犬は、野良犬ではなく飼い主のある犬であるということだ。犬はみんな利口で、居場所を失ったあわれな野良犬たちはいつも控えめに振舞う。人間に例えると、社会にとって一番、害を与えるのは乞食ではなく、いばり散らす人間たちなのだ」

 それでは、ほかの国の野良犬の運命はどうだろうか。タイには約70万匹の野良犬がおり、その数は世界一だといわれている。にぎやかな繁華街や辺ぴな片田舎まで、いたるところで野良犬を見かけるという。国民の多くが仏教徒であり、野良犬を殺生せず、自らの食事を与えることも少なくない。一部の病気や障害を持つ野良犬たちはお寺に住み、毎日食べ物が与えられるという。

 作者不詳だが広く世界に知られている英文の詩「犬の十戒」(犬の飼い主のための十戒)では、犬が人間に語りかける形で、次のように訴えている。

 1.私の一生はだいたい10年から15年。あなたと離れるのが一番つらい。どうか、私と暮らす前にそのことを覚えておいてほしい。

 2.あなたが私に何を求めているのか、私がそれを理解するまで待ってほしい。

 3.私を信頼してほしい、それが私の幸せなのだから。

 4.私を長い間叱ったり、罰として閉じ込めたりしないでほしい。あなたには他にやる事があって、楽しみがあって、友達もいるかもしれない。でも、私にはあなたしかいないのだから。

 5. 話しかけてほしい。言葉は分からなくても、あなたの声は届いているから。

 6.あなたがどんな風に私に接したか、私はそれを全て覚えていることを知ってほしい。

 7.私を殴ったり、いじめたりする前に覚えておいてほしい。私は鋭い歯であなたを傷つけることができるにもかかわらず、あなたを傷つけないと決めていることを。

 8.私が言うことを聞かないだとか、頑固だとか、怠けているからといって叱る前に、私が何かで苦しんでいないか考えてほしい。もしかしたら、食事に問題があるかもしれないし、長い間日に照らされているかもしれない。あるいは、もう体が老いて、弱ってきているのかもしれないと。

 9.私が年を取っても、私の世話をしてほしい。あなたもまた同じように年を取るのだから。

 10.最後のその時まで一緒にいて欲しい。「もう見ていられない」「私はここにいたくない」などと言わないでほしい。あなたがそばにいてくれることが、私を幸せにするのだから。忘れないで、私はあなたを愛しています。

 この詩を読むと、辛くなってくる。人権さえ保障できない今日、「犬権」の有無を論じるのか、と問う人がいるかもしれない。しかし、その国の政府の犬に対する態度から、生命に対する心を見ることができる。我が国、中国では犬だけではなく人の生命と権利さえ危険にさらされていることに、改めて気づかされるのである。

 

(翻訳編集・柳小明)