【生活に活きる植物】21・藤袴(ふじばかま)

【大紀元日本11月12日】中国から渡来し、関東以西の日本全土に古くから自生するキク科多年草。すでに『万葉集』の時代から親しまれた秋の七草の一つで、9月ごろ、茎頂に淡紅紫色の小さい管状花(かんじょうか)がつきます。昔は土手などに多く生えていましたが、今では絶滅を危惧され、庭先に植えられているのは、ほとんどが園芸種です。つぼみのうちに全草を採取して2~3日ほど日干しにし、香りが出たら陰干しにすると、佩蘭(はいらん)という生薬が出来上がります。

よく似た白い花にヒヨドリバナがありますが、葉が細長く対生しているので容易に区別がつきます。

学名:Eupatorium fortunei
別名:蘭草(らんそう)、香草、香水蘭
成分:クマリン、チモヒドロキノン、ミネラルなど

【薬用効果】佩蘭は脾経、肺経に働き、特に、夏季に発生する病を改善します。芳香を有し作用も緩和で、胸苦しさ、食欲不振、口臭などに有効です。一日量は乾燥物6~12g、鮮品は15~30gを煎服します。長く煎じてはいけません。

利尿、止渇作用もあり、糖尿病に効果があるとされ、予防と治療にフジバカマ、カキドウシ、ビワ、タラノキを同量混ぜて煎服しますが、薬用茶として商品化されています。乾燥した全草を煮出して浴用に使用すれば、肩こり、神経痛、皮膚のかゆみに有効です。

【余談】生では香りはありませんが、半乾きの状態にすると、桜餅の葉のような香りがします。古く中国では、花の一枝を女の子の簪(かんざし)にしたり、かおり袋として身につけたりしていました。日本では、平安時代の女性が干した茎や葉っぱを水につけて髪を洗い、防虫剤、芳香剤、お茶などに利用しました。

秋の茶花として、季語として、また文学でも重宝されますが、食用にはならないようです。

 

(フジバカマ、写真=大紀元)

(文・ハナビシソウ)