【大紀元日本2月5日】今年の2月14日はいつものバレンタインデーとは違う。中国では一年で最も盛大に祝う「春節」こと旧正月の日でもあるのだ。異郷で働く人々が故郷に帰り、家族や友人と一堂に集まって祝うのが中国スタイルであるが、今年はちょっぴり様相が違うようだ。
ことの発端は中国の人気掲示板サイト「天涯フォーラム」のある書き込みに遡る。『異郷で働くある新卒が田舎のお父さんへの手紙』と題するこの書き込みは、以下のように書かれている。
「お父さん、嘘をついてごめんなさい。この前の電話でお母さんに月収を聞かれた時、3200元(約4万3千円)と答えたのは嘘だった。実際、僕の月収は1000元しかない。大学まで出たのだから、少なくとも5、6千元は稼げるだろうとお父さんはいつも言っていたけど、がっかりさせてごめんなさい。家のお金を使い込んで、大学まで行かせてもらったのに、この程度しか稼げないなんて・・・。『お正月は帰るかい?』と聞かれた時、僕は仕事の都合が付けば帰ると言ったのも嘘だった。お正月休みに、仕事があるわけではない。ただ、計算してみると、往復の切符だけでも400元以上はかかるから、お母さんにセーターを買ってあげるお金すら残らない。雪が降ってきた。僕だってみんなに会いたい。だけど、僕は帰れない。帰る勇気がない」
この書き込みはネット上で大きな反響を呼んだ。「帰れないのはあなただけじゃない」、「月収3000元(4万円)ないと、親に会わせる顔がない」という書き込みが後を絶たず、「恐帰族」という新語まで誕生するに至った。
さて、そもそもどうして親の期待と大卒の実態がこんなにも違うのだろうか。かつての中国では、大卒は数少ないエリート集団で、就職先も保障され、田舎の親よりたくさん稼げるのは当然のことだった。しかし、ここ10年、中国の大学改革により、大学生が急速に増える一方、産業構造の変革が遅れているため、大卒の深刻な就職難や給料水準の引き下げが社会問題として注目されるようになった。特に、高学歴でありながら、農村部出身でコネがないため、安定した職が見つからない若者が多い。「蟻族」という去年の中国の流行語はまさに彼らの生活実態を表している。「高学歴、弱小、都市と農村部の境に群れを作って住む」というのが特徴だ。彼らの平均月収は2000元(3万円弱)未満という現状は、大学を出て、都市部で高収入のエリートになってもらいたいという苦労した親達の期待との間に大きな溝が広がる。
そして、このような若者たちにとって、年に一度、家族と団らんできる「春節」を迎えることが憂うつになってしまっている。往復の切符やお土産、つきあいの食事や親戚の子供にあげるお年玉など、これらの非日常的な出費はギリギリの生活をしている彼らの帰郷の足を鈍らせ、「恐帰族」となったわけだ。
しかし、なんと言っても、親が最も期待しているのは、我が子の元気な姿を見ることではないだろうか。
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