【大紀元日本8月22日】周抜は明代の浙江省平陽県の人で、幼いときから神童ともてはやされた。彼は、一度目を通した書物はすべて覚えることができ、7歳にして詩を詠み文を作ることができた。16歳のとき、彼は、そのすばらしい詩文で名を馳せ、「平陽の天才」と称された。ただ、人々の称賛と両親の寵愛を受けたことから、彼は次第に尊大で傲慢となっていき、両親、兄弟、そして近所の人たちまで、彼の激しい気性を我慢しなければならなかった。
ある年、周抜は科挙の試験を受けるため、都に行くことになった。両親はあちこちからお金を借りて旅費を工面してやり、わざわざ新しい服を仕立ててやった。ところが、身の程知らずの周抜は、旅費が少ないだの、服が大きいとかズボンが長いとか、靴の色が悪いだなど、不平ばかりである。
せっかくの両親の気遣いにも息子は不満ばかりなのを見て、父親はこらえきれず息子に教え諭した。「お前はあれが嫌だこれが嫌だと言っているが、わしと母さんはお前の受験のために旅費を工面し、服を仕立て、それだけであれこれと苦労し、髪の毛はすっかり白くなってしまった。それなのにお前はまだ満足しないのなら、わしにはもうどうすればいいかわからない」。
ところが、周抜は、父のこのことばに胸を打たれるどころか、大声でどなった。「おれさまは文昌星(学問・文学の神)の生まれ変わりで、尊い身分だ。お前のような役立たずの田舎者に、おれさまの父親になる資格などない。おれさまはお前の子なんかではないのだ」。それを聞いた父親はあまりの腹立たしさに気を失ってしまった。
その日の夜、周抜はあの世に連れて行かれた。そこで、閻魔大王が彼に言った。「お前は普段から親への孝行を知らない。姿形は人だが、心は畜生も同然だ。心の畜生の種が実を結んでしまったら、お前は人の体を失い、畜生になってしまうだろう」。
周抜は弁解して、「私は両親に理を以って直言しているだけです。それがなぜ親不孝ということになるのですか?それに、私はすばらしく頭のいい天才ですから、畜生になったりなどするものですか。あなたの話にはまったく納得できない」。
閻魔大王は穏やかに優しく話してやった。「お前が今世賢いのは、前世に善行を積んだからだ。しかし、今世お前はあまりにもわがままで、傲慢無礼で、親不孝の悪行を犯し、畜生の種を育ててしまったため、前世の善良の種はもはや尽きてしまった。お前は何者も眼中に入らないほどに傲慢となったからには、もはやロバになり、鞭を受けながらひき臼を回すほか仕方ない」。
周抜は大王の言うとおりだと思うと同時に、悪の報いから逃れることはできないと知ってうろたえた、ちょうどそのとき目が覚めた。周抜は正にその日、急病にかかった。口もうまく開けられず、歯はしっかりと閉じられ、喉からはロバの鳴き声を発した。名医も何の病気かわからず、2日経たないうちに、周抜はロバの鳴き声を発しながら死んでいった。
(出典・清代の『暗室灯』、正見ネットより)
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