自己啓発の世界では、最近あまり「成功」という言葉が語られなくなっています。
この言葉には、少し厄介なイメージが付きまとっています。人によっては、地位や富、権力を自己中心的に追い求めることを連想するからです。しかし本来、成功とは「自分が成し遂げようと決めたことを達成すること」を意味するにすぎません。
その定義で言えば、私たちは皆、成功を望んでいます。より愛情深い配偶者になること、より忍耐強い父親になること、あるいは効果的な文章を書く人になることなど、どんな形であれ、自分の努力が実を結ぶ姿を見たいと願っているのです。
では、その目標へ向かう道筋が見えなくなってしまったとしたらどうでしょうか。成功したい気持ちはあるのに、どうすればそこにたどり着けるのか分からないとしたら。
私も、かつてまさにそんな状況にいました。数年前、なりたい自分の姿や、断ち切りたい悪い習慣について大きな夢を抱いていました。しかし前進する代わりに、自分の問題について何時間も読み漁り、きっとどこかにあるはずだと信じて「秘密」を探し続け、いつか成功するための複雑で凝った計画を立てていたのです。
今振り返ると、成功への道は目の前にありました。探し回る必要などなかったのです。けれど当時の私は、前進に必要な唯一の要素――つまり「当たり前のことを、きちんとやる」という不快さを受け入れるよりも、目標を夢想している方が心地よかったのです。
当たり前のことをやるとはどういう意味か
あなたがその分野のトップレベルの達人でない限り、当たり前のアドバイスが当てはまる可能性は非常に高いです。
太り気味だったり体力がなかったりする人に、世界的に有名な専門家の助言は必ずしも必要ありません。なぜなら、どんなに当たり前のアドバイスであっても、それを実行するだけで大きな助けになるからです。
当たり前のことをやるとは、「100人中90人が、これをやるべきだと言うだろうことは何だろう?」と自分に問いかけることです。
あなたが知的で向上心のある人であれば、この助言はあまりにも簡単すぎると感じるでしょう。確かに効果はあるかもしれないが、もっと良い方法や、もっと早く到達できる方法があるはずだ、と思うかもしれません。そして、最善の成功法が完全に分かるまで、始めるべきではないと信じてしまうこともあります。
しかし、「自分は当たり前のアドバイスには向いていない」と考える代わりに、こう想像してみてください。頭に最初に浮かんだ、もっとも合理的な当たり前のアドバイスこそが、唯一の方法だとしたらどうでしょうか。
もしそれが本当だとしたら、あなたの取り組み方はすべて変わります。精神的なエネルギーのすべてが、その一本の道に注がれることになるからです。
ここで、ようやく本質に近づきます。
当たり前の助言を、並外れた熱意で実行する
当たり前のことをやるには、もう一つ欠かせない要素があります。それは「並外れた熱意」です。
実際にこれを機能させるためには、「当たり前の助言を、並外れた熱意で実行することこそが成功の鍵である」と心から信じる必要があります。その好例が、アメリカンフットボールのグリーンベイ・パッカーズの元ヘッドコーチ、ヴィンス・ロンバルディ氏です。
ロンバルディ氏は、基本に異常なまでにこだわりました。
多くのコーチが巧妙なプレーを考え、相手を出し抜こうとする中で、彼は相手チームに「次に何が来るか」を完全に分からせたうえで、それでも止められない状態を作ろうとしました。彼のチームは、他のチームが初歩的だと考えるような、分かりやすく単純なプレーを何度も何度も練習し、少数の基本プレーを完璧にマスターするまで繰り返したのです。
その結果、ロンバルディ氏は7年間で5度のNFL優勝にパッカーズを導きました。これは、この競技の歴史において、どのチームよりも短期間で多くの成功を収めた記録です。
当たり前の助言が、自信、エネルギー、一貫性、そして粘り強さをもって実行されるとき、それは想像し得る中で最も強力な成功のレシピの一つになります。当たり前の助言がこれほどまでに効果を発揮する理由は、少なくとも次の点にあります。
- それは実証済みであること。多くの場合、それは最善の方法であり、車輪の再発明(すでにある方法を一から考え直すこと)をせずに済みます。
- すぐに行動に移れること。行動は、現実世界からのフィードバックを与えてくれます。
- 決断が容易になること。ジョージ・パットン将軍の言葉を借りれば、「来週完璧に実行される計画よりも、今すぐ力強く実行される良い計画の方がまし」です。
- 逃げ場がなくなること。派手で複雑な計画の陰に隠れることはできず、ただ仕事をし、それをうまくやるしかなくなります。さもなければ、成功の望みはありません。
- 一つの道に集中せざるを得なくなること。完璧主義を手放すことで、あらゆる方法や計画、戦術について延々と考え続ける余地がなくなります。
- 強固な土台が築かれること。反復と、その先の革新は、当たり前のことを極めることから生まれ、新しいことに挑戦するための洞察を与えてくれます。
あなたが見過ごしてきた当たり前のアドバイスは何でしょうか。今日から始めて、他の選択肢をすべて捨ててみてはいかがでしょうか。それが、あなたの将来の成功を切り開く、意外な鍵になるかもしれません。
(翻訳編集 井田千景)
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