お菓子VS健康?魔女の秘策!

ハロウィーンの新トレンド「スイッチウィッチ」 その賛否とは

ここ数年、ハロウィーンの定番であるお化けや化け物に加えて、子供たちの想像力をかき立てる新しいキャラクターが登場しています。

「Switch Witch」(スイッチウィッチ)という伝統が注目を集めています。特に、ハロウィーンにおける子供のお菓子の食べ過ぎを抑えたいと考える親たちの間で広がっているようです。この伝統を取り入れる家族が増えている一方で、「子供時代の楽しみを奪ってしまう」という懸念の声も上がっています。
 

スイッチウィッチとは

スイッチウィッチとは、優しく思いやりのある魔女が、子供が置いていったキャンディーを甘くないお菓子と交換するというハロウィーンの伝統です。

子供たちはトリック・オア・トリート(アメリカでは、大人がお菓子を用意し、仮装をした子供たちが家をまわって「トリック・オア・トリート!」と言ってお菓子をもらうのが一般的です)で集めたお菓子を二つの山に分けます。一方を残し、もう 1 つは交換用です。交換用のお菓子の山を夜寝る前に用意しておくと、スイッチウィッチがその間にやってきて、お菓子をおもちゃや本、その他の欲しいものと交換してくれます。

スイッチウィッチの伝統は、自分の信念、価値観、目標に合わせてアレンジできます。

家族によってはスイッチウィッチに名前をつけたり、エルフのような親しみのある存在として扱うこともあります。また、親によっては、お菓子の代わりに公園で遊ぶ時間や映画鑑賞といった体験に交換する場合もあります。スイッチウィッチに渡すお菓子の量も自由で、5個だけ残す親がいる一方で、どれくらい渡すかを子供に決めさせる家庭もあります。

この伝統を楽しむ親もいれば、批判する声もあり、賛否が分かれています。

ハロウィンを楽しむ子供たち(Shutterstock)

 

人気の理由

スイッチウィッチは、ハロウィーンのお菓子の食べ過ぎを防ぎたい親にとって有効な手段として人気になっています。この伝統は、ハロウィーンに「魔法」の要素を加えて、子供たちにも楽しんでもらえるものとして親しまれており、親子で楽しめる「良いアイデア」として広まっています。

あるお母さんはInstagramに、この伝統は子供と親に幸せをもたらすと投稿し、これを画期的なものと表現しました。

また、食物アレルギーを持つ子供の親にとっても、ハロウィーンを安全に楽しませる方法として役立っています。例えば神経科学の博士号を持ち、At My Tableというウェブサイトを運営する母親のパトリシア・グラネックさんは、伝統的なハロウィーンのお菓子の多くにはナッツや乳製品など一般的なアレルギー物質が含まれているため、スイッチウィッチは子供たちが取り残された気分にならずに休日を楽しめる楽しい方法だと言います。スイッチウィッチは、子供たちが安全に休日を楽しめるとわかって、親のストレスを軽減します。
 

菓子の恐ろしい成分

おそらく、ハロウィーンで最も恐ろしいのは、街を歩き回る吸血鬼や狼男、ゾンビではなく、お子様のハロウィーンキャンディーの材料でしょう。

環境保護団体「Environmental Working Group」によると、ハロウィーンの定番菓子には以下4つの添加物が含まれており、健康への悪影響が懸念されています。

  • 二酸化チタン
  • TBHQ(tert-ブチルヒドロキノン)
  • BHT(ブチルヒドロキシトルエン)
  • 合成色素(赤色3号など)

これらの添加物は、DNAの損傷やホルモンの乱れ、免疫系の障害、動物実験における発がん性などが確認されています。

子供の健康増進のためにライフスタイルに焦点を当てている統合小児科医のジョエル・ゲイター博士は、ハロウィーンのキャンディーに制限を設け、子供の健康をサポートするために人工着色料入りのお菓子は食べなくてもよいとXに投稿しました。

スイッチウィッチは、食品添加物や人工的な成分が広がり、子供たちの健康を損ねる現代において、ハロウィーンのお菓子の一部をより健康的なものと交換する方法として、親たちに支持されています。
 

ハロウィンのお菓子を手に持つ子ども(Shutterstock)

 

親からの批判の声

一部の親たちに好評なスイッチウィッチの伝統ですが、批判も多く、SNSには反対意見があふれています。

その中でも特に多いのは、「スイッチウィッチが、子供たちが存分にお菓子を楽しむハロウィーンの喜びを奪ってしまう」という声です。ハロウィーンは、多くの人にとって特別な行事で、仮装して友達と遊び回り、思う存分お菓子を食べられる日として親しまれています。

ハロウィーンは、多くの親にとって子供たちが友人と駆け回り、好きなだけお菓子を食べる「通過儀礼」であるとの意見もあります。こ仮装して友達と走り回り、そしておそらく最も重要なことですが、食べられなくなるまでキャンディーを食べる時間だと考えられています。

一部の親たちは、ハロウィーンを「苦労して手に入れたお菓子を無理に取り上げるのではなく、節度と自制心を学ぶ良い機会」と捉えています。山積みのキャンディーを前に、どんな大人でも誘惑に負けてしまうような状況で、子供たちが適切なバランスを学べると考えているのです。

また、親が子共にお菓子の一部を手放させることで、子共が甘いものに対して罪悪感や恥ずかしさを感じて、せっかくの楽しみを損なってしまうのではないかという懸念もあります。

他の意見として、スイッチウィッチの伝統が、親にとって負担を増やすとの声もあります。すでに衣装の準備、パーティー、学校行事、トリック・オア・トリートの手配などで忙しい親にとって、さらにプレゼント用のおもちゃやアイテムを用意することは負担が増えるばかりです。特にハロウィーンはクリスマスの直前で、多くの家庭が節約を意識している時期でもあります。

ある母親であり、栄養士である女性の投稿では、この「スイッチウィッチ」が子共に「食べ物を適切に扱えない」という意識を植え付けてしまうと懸念が述べられています。このような習慣が、将来の過食や食べ物に対する強い執着につながる可能性があると指摘しました。

また、別の母親であり、自然な食事の取り方を指導する栄養士も同様の懸念を示し、「お菓子を制限すればするほど、子共はより一層欲しくなる」と述べています。この制限は、子供が家を離れてようやくお菓子に手が届くようになったときに、チャンスがある限り食べようと、過食につながることがよくあります。

ハロウィンのカボチャを持つ子共(Shutterstock)

 

最後に

現代の子育てはますます複雑化しており、選択肢があることは良いことです。子供たちに彼らが切望する自由を与え、子供であることの喜びを育み、子供たちを安全に保つことのバランスを取るのは常に苦労の連続です。

スイッチウィッチは、健康的な選択肢を取り入れつつ、子供たちの喜びを奪わないように工夫された方法として、多くの家族に受け入れられています。一方で、この習慣は「子共時代の特別な体験を奪ってしまう」という意見もあります。

どちらの側にも熱烈な議論がありますが、幸いなことに、スイッチウィッチを取り入れるかどうかは家族の自由です。家族それぞれが、自分たちに合ったハロウィーンの過ごし方を選べます。季節の楽しさを味わい、思い出に残るハロウィーンを作り上げることができるでしょう。

 

AP
D.Ac
鍼灸医師であり、過去10年にわたって複数の出版物で健康について幅広く執筆。現在は大紀元の記者として、東洋医学、栄養学、外傷、生活習慣医学を担当。