国内企業19社から学ぶ、事例とヒント集企業が「創造性人材」の育成に取り組むには?

株式会社ロフトワークが、令和5年度「大企業等人材による新規事業創造促進事業(創造性リカレント教育を通じた新規事業創造促進事業)」として採択され作成した事例集「みんなで○○創造性~個人と組織の創造性を育むための20の事例と12のヒント集~」が経済産業省のホームページにて公開されました。

経済産業省は、国内企業が付加価値の高い事業を創出するためには、個人の「創造性」が重要だとし、近年、社会人がビジネスで創造性を発揮するための環境整備を行っています。本取り組みは、創造性人材の活躍を阻害する企業内の課題を解消し、創造性人材がその能力を最大限に発揮できる社内環境の整備に向けて作られました。

本書では、創造性は組織と個人の間に良い循環が生まれているときに現れると考えています。組織がビジョンやパーパスの実現に向けて探究することで、組織内の個人にも影響を与え、個人もまた自己実現のために探究し続けることができるという良い循環を生み出すには、個人と組織の健やかな関係性が必要です。本書では、ヒアリング調査等を通じて、国内企業19社の様々な実践例を集め、創造性人材の育成や評価、創造性を育む社内環境の整備などの好事例をまとめました。

実践知を多角的に取り上げる本書を通じて、企業活動を推進する担当者及び経営層のアクションにつなげ、創造性人材の育成の後押しにつながることを願っています。

 

事例集: 「みんなで○○ 創造性 ~個人と組織の創造性を育むための20 の事例と 12 のヒント集~」

https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/souzousei_jinzai/pdf/jireishuu_r5_recurrent.pdf

令和5年度「大企業等人材による新規事業創造促進事業(創造性リカレント教育を通じた    新規事業創造促進事業)」報告書

https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/souzousei_jinzai/pdf/houkokusho_r5_recurrent.pdf

本事例集の特徴

本書では、経営者やミドルマネジメント層から一般社員の方までが、自社で創造的な文化を育むことについて主体的に考え、自らアクションを起こしやすくする工夫をしています。

 

1. 自社の構造と文化を踏まえ、「内省」と「対話」を促す

組織を形作るものは端的に、構造と文化に分けることができます。構造とは制度やルール、業務プロセスなどの言語化しやすい部分を指し、文化とは価値観やパーパス、 行動様式などの言語化しにくい部分を指します。文化を直接的に作ることは難しく、構造を徐々に変えることで生み出すしかありません。また各社の状況が異なるため、他社の構造づくりの施策をそのまま参考にすることは難しいです。そのため、本書では自社にとって今必要な変化についての「内省」とその変化を起こすためにすべきことについての「対話」の2つのパートに分けました。

自分の中での「内省」とメンバーとの「対話」を行き来することで、構造の変化を起こす切り口を発見し、さらにそれを実践に落とし込みながら少しずつ軌道修正を図る。そのような取り組みが最終的に組織全体の創造力の向上に繋がることを狙います。

 

内省する

このパートでは、企業へのヒアリング調査を基にした様々な取り組み事例を掲載しています。それぞれの事例に対し「問い」の形でタイトルを付け、企業で行われている施策を「実践の形(Practice)」と「目指す姿(Foucs)」の2つのパートに分けて記事化しました。

 

対話する

このパートでは、調査を進める中で抽出した創造性を育み活用する組織づくりを実践する12個のヒントを掲載しています。これらのヒントは「個人視点で考える」「変化をもたらす」「体験を共有する」「不確実性を楽しむ」という4つのカテゴリーに分類。事例のパートと比べて抽象度を上げた視点から、様々な角度で自社の状況と照らし合わせたり、社内のメンバーを巻き込んで対話することで、自社での実践の仕方を検討することができます。

 

2. ツールキットを使い、創造的な組織づくりの第一歩を踏み出す

19社の事例を読んで終わりではなく、自社について振り返ることができるツールキットを活用することも有効です。チェックシートに沿って、点数をつけたり、レーダーチャートを使って、チェックシートで出した各ヒントの平均値を可視化してみましょう。可視化することで、前の段階では気づかなかったことや、潜在的な改善点を特定することができます。この結果をもとに、議論を行い、次のステップにつなげることができます。

 

企業ヒアリングにご協力いただいた方々

本書では下記のみなさまにヒアリングにご協力いただきました(敬称略、五十音順)。

伊藤 セルジオ 大輔(株式会社マネーフォワード)
石黒 照朗(サイボウズ株式会社)
石原 英貴(オムロン株式会社)
石本 康久(TOPPAN株式会社)
岡崎 忠彦(株式会社ファミリア)
柏木 彩奈(株式会社パルコ)
加藤 大介(株式会社ASNOVA)
河合 洋平(AGC株式会社)
岸井 隆一郎(株式会社メルカリ)
吉備 友理恵(株式会社日建設計)
小金 蔵人、梅澤 孝之(株式会社ZOZO)
権平 頼昭、村田 康男(コクヨ株式会社)
渋谷 昭範(株式会社リクルート)
谷崎 正明、丸山 幸伸(株式会社日立製作所)
津野 純一(株式会社富士通ゼネラル)
西村 歩、瀧 知惠美 (株式会社MIMIGURI)
野中 利明(全日本空輸株式会社)
山納 洋、田仲 香子(大阪ガスネットワーク株式会社)
若狭 文男(株式会社フェリシモ)