アメリカ人女性が明かす -86℃の世界

一般の人々にとって、世界で最も寒い場所、南極旅行する機会は、ほぼないでしょう。ましてや長期に住むことなんて全く考えられませんね。あるアメリカ人女性が昨年、仕事で南極に行く機会を得て、南極で1年間過ごしたのです。彼女はしばしばSNSで、極寒の南極での暮らしぶりをシェアしてくれたので、ここですこしご紹介しましょう。

32歳のミシェル・エンドウ(Michelle Endo)さんは、もともとサンフランシスコに住んでいました。昨年10月から、アムンゼン・スコット南極点基地でホスピタリティ ・マネージャー(極限の地で、思いやり部門のマネジャー)として働いています。そのおかげで、これまでとは異なる経験をしたのです。

アムンゼン・スコット南極基地は米国が1957年に南極台地で建設した観測基地です。国立科学財団に所属しています。

「ニューズウィーク」誌のインタービューで、エンドウさんはそれまで、 6 つの大陸で仕事をしてきましたが、それらの場所に行くとき、幸運にも、そして仕事なので当然ですが、どこに行くにしても、お金を払う必要はありませんでした。そして、南極はエンドウさんが最後に訪れた大陸です。そこで仕事を得ることは、南極への無料で行ける切符を手に入れたということですね。

エンドウさんによれば、この基地では、天文学、気候学、氷河学研究のプロジェクトが年間を通じて行われています。エンドウさんのようなサポートスタッフは、すべての施設とプロジェクトがスムーズに運営されるようにサポートすることです。

エンドウさんの仕事は、食堂を清潔にし、スナックや飲み物を提供し、みんなが何かできるように、掃除のスケジュールを調整することです。 また、土産物、衣類、飲み物、薬などを販売する小さな売店の管理もしています。商品の補充や在庫の棚卸しもエンドウさんが担当しています。

エンドウさんはしばしば、南極での生活やさまざまなチャレンジをインスタグラムに投稿しています。あるショート動画で、彼女は2月15日からの冬季クローズ期間中、飛行場が閉鎖されると述べました。飛行場は10月28日にならないと再開しないのです。

南極では、年間6か月間は24時間真っ暗な極夜の状態が続きます。気温はマイナス86度まで下がり、外に太陽光がないから、皆室内で過ごさなければなりません。太陽光がないと不足するビタミンDを摂取したり、人工太陽照明灯を使用して体の健康を維持したりするのです。

エンドウさんは太陽の昇らない極夜期では「越冬症候群」が起こりやすいのだと話しました。その症状には、抑うつ、記憶力減退、怒り、集中力の低下などがあげられます。また、忍耐力を失いやすいのです。

エンドウさんは別のショート動画で、6か月の極夜の後、初めてやってきた夜明けの景色をシェアしました。それが非常に感動的な経験だったそうです。

低温の他に加えて、エンドウさんが慣れなければならないことに高い標高がありました。アムンゼン・スコット基地は標高2835メートルの高原に位置しています。気圧は比較的に低く、階段を少し登るだけで息が切れるのですね。

南極で過ごしている間、エンドウさんは動物や植物を一度も見たことがないのです。この1年の仕事で、彼女は10歳も年を取ったように感じたそうです。これはエンドウさんが経験した中で最も疲れる仕事でしたが、思ったほど、早く帰りたいとは思わなかったと話しています。

「ここでの時間が終わったら、暖かいところに行ったり、動物と遊んだり、フレッシュな食べ物を食べたりするのが楽しみとなりました。また、自分のウェブサイトにおける仕事を、これからも続けるつもりです。南極などのような場所での仕事を求める方法について、情報を提供するつもりです」

普通の人が行けないところに行くことは、大事な価値がありますね。