コロンビア軍は海底約1000mに300年間眠っていた財宝船「サンホセ号」の画像を初めて公開しました。この船には、200トンの金、銀、翡翠など、少なくとも数十億円相当の財宝が積まれているとされていますが、その所有権をめぐる問題が再び浮上しています。
コロンビア軍は6月6日深夜の声明で、同国文化省の監督の下、海軍が遠隔操作型の水中ドローンを使ってコロンビアのカリブ海沿岸、水深950メートルの場所を4回調査したと発表しました。残骸を観察したところ、まだそのままの状態で、「人間が介入した」痕跡は見られないことが分かりました。
撮影された画像には、一部が泥に覆われた大砲、一部が藻や貝に覆われた船首、船体の外枠も映っています。沈没船と一緒に磁器、陶器、ガラス瓶、金の延べ棒やコインも確認できます。
(海底に沈む「サンホセ号」の写真はこちらから)
また当局は、カルタヘナ沖の海軍の観測で、スペイン植民地時代(15世紀後半から19世紀)のガレオン船とコロンビア独立戦争時(約200年前)の2本マストの帆船という2つの歴史的な難破船が、同様の船10隻とともに発見されたと発表しています。
コロンビアのイバン・ドゥケ大統領は、難破船は「完全な状態で保存されており、将来の引き揚げに期待が高まる」と述べました。
スペイン王フェリペ5世の艦隊の一つであったサンホセ号は、南米植民地からの膨大な金、銀、宝石、ジュエリーを積んでスペインへ向かう途中、1708年6月8日にカルタヘナ沖でイギリス艦隊に沈められました。600人いた乗員のうち助かったのはほんの一握りだけでした。
300年以上海底で眠っていたサンホセ号は、2015年11月にようやくコロンビア沖で発見されるまで、トレジャーハンターたちから大いに注目されていました。専門家は、この船には少なくとも200トンの金、銀、エメラルドが積まれていたと考えており、財宝は現在、少なくとも数十億円の価値があるといいます。
沈没船が発見されたとき、当時のコロンビア大統領フアン・マヌエル・サントス氏は、サンホセ号を「世界史上最も貴重な帆船」と評しました。
しかし、海中に沈んだサンホセ号の画像が公開されたことによって、この船の宝物の所有権をめぐる論争が再燃しています。
実は、この沈没船の引き揚げをめぐっては、コロンビア、スペイン、ボリビアの先住民がサンホセ号とその内容物の所有権を主張して、数十年にわたり訴訟が続いているのです。
コロンビアは、沈没船は自国の海域で発見されたものであり、自国の文化遺産の一部であると主張し、スペインは、サンホセ号は英国海軍によって沈められたときスペイン王室に属していたので、宝物はスペインに属すると主張し、ボリビアの先住民カラカラ人は、スペインによって貴金属を掘ることを強制されたので宝物は自分たちのものであると主張しています。
(翻訳・香原咲)
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