米・カナダ、10代の大麻使用が増加 電子タバコが助長か=研究

最近の研究によると、米国とカナダでは大麻を使用する10代の若者の数が2013年から2020年の間に倍増しており、過去30日以内に大麻を吸ったと答えた10代の若者は、この7年間で1.6%から8.4%に増えていることもわかった。CDCによると、大麻は思春期の脳の発達に悪影響を及ぼしているという。

カナダと米国の18歳以下を対象とした17件の研究報告を総合的に分析した。対象人数は20万人。この研究は10月、小児科と思春期保健の専門誌である「JAMA Pediatrics」に掲載された。

電子タバコは安全?大麻流行を助長か

専門家によると、10代の若者たちは乾燥大麻を喫煙するよりも電子タバコ(VAPE)の方が「安全」だと考えているようだという。

米ミシガン大学の麻薬・アルコール・喫煙と健康に関する研究センター共同代表Carol Boyd氏は電子タバコの影響を「誤解している」と報道機関・NPRに述べた。「電子タバコを喫煙と比較すると、青年たちがぜいぜいと息したり、胸の異音など気になる肺の症状を引き起こす可能性が高いことがわかっている」と話した。

同研究によると、10代の若者は、大麻成分のテトラヒドロカンナビノール(THC)濃度の高い大麻オイルを使用したことで得られる、より強烈な高揚感に惹かれて電子タバコを使用している可能性がある。大麻オイル、大麻エキス、大麻樹脂を電子タバコ(VAPE)で吸うことは、「dabbing(ダビング)」と呼ばれている。

現在の大麻エキスに含まれるTHCの量は、10年前に比べて増えている。米国国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse)によると、1990年代には約4%だったTHCの含有量を、現在の技術によって15%以上にすることができるという。

同研究の著者でオーストラリアのクイーンズランド大学の健康・行動科学博士であるCarmen Lim氏も、電子タバコで高濃度の大麻製品を吸うことは、様々な潜在的な社会問題を提起し、若者らに恒久的なダメージを与える可能性があると述べている。

麻薬は思春期の脳の発達に悪影響を与える

米国疾病予防管理センター(US Centers for Disease Control and Prevention)によると、いかなる理由があっても青年の大麻使用は止めるべきだと訴えている。「思春期には脳が発達している段階で、通常25歳前後で完了する」「大麻は脳に永久的なダメージを与える」と指摘している。

このダメージとは、協調性の低下、集中力の低下、脳の学習・記憶・問題解決能力の低下などが挙げられる。CDCによると、思春期の若者の大麻使用は、学業成績の低下や退学につながり、また、うつ病や不安神経症、ほかの精神病などを引き起こす恐れがある。

1月に発表された報告書によると、麻薬を大量に使用する10代や若年層は、うつ病などの気分障害を患い、その結果、自傷行為や自殺、死亡のリスクが高まるという。

麻薬を使った10代の若者のうち、約6人に1人が依存症になると言われている。大麻を吸わなくなると、過剰な食欲増進または減退、イライラ、興奮、不機嫌、不眠になったりすることがある。これらは依存症の兆候だと専門家は指摘した。

蘇文悦
蘇文悦