米国のフレデリック・レンツ博士は、1980年に出版した研究書『Lifetimes: True Accounts of Reincarnation』の中で、実際の生活場面で確認された転生の記憶を明らかにしています。人はこの世だけで生きているわけではありません。
フロリダ州西海岸で不動産業を営むメアリーの息子チャーリーが、4歳の時に突然「僕は一度死んだ」と言い出しました。彼が「苦しい死」という前世の記憶に陥っているように見え、休日にメアリーは娘と4歳の息子チャーリーを連れてメキシコ旅行に出かけました。
ある時、チャーリーは、ショーを終えると、「僕は一度死んだんだ!」と言い出しました。チャーリーは「一度だけ死んだことがあるけど、すごく痛かったよ」と繰り返し言いました。
チャーリーと話していると、メアリーはチャーリーが自分の過去の人生を見ているような気がしました。
そこで「じゃあ、いつ死んだのか教えて」と聞きました。するとチャーリーは「足を撃たれて、すごく痛かったんだ」と叫びました。
メアリーは、息子が冗談を言っているのではないと感じ、詳しく尋ねました。するとチャーリーは、自分の「前世」の記憶を語ってくれました。
それによると彼の前世はジェームズ・ケローといい、両親はカリフォルニア州サンフランシスコに住んでいました。 彼は一人っ子で、ずっと海軍の将校になりたいと思っていました。
1942年、当時、彼は20代で、アメリカ海軍の大型軍艦に乗船していた時、船が被弾し、大爆発が起こり、多くの人が死傷し、艦内は泣き声が響きました。ジェームズと他の3人は救命いかだで脱出しましたが、途中1人が海に落ち、1人がいかだの中で死亡しました。その後、上陸したジェームズは、最後の仲間を引きずって陸に上がり、彼も亡くなりました。
この話からはとても4歳児の話とは思えません。どうしてそんな記憶があるのでしょうか?
メアリーはチャーリーに載っていた軍艦の名前を尋ね、発音を聞き取るのに苦労しましたが、アラバマ号と聞き取れました。
メキシコからアメリカに戻った二人は、チャーリーの前世の真実を探るためにアラバマ州のモービル港に向かいました。当時の軍艦「アラバマ号」は記念に港に停められていました。メアリーは老艦長に頼み、名簿を調べてもらったところ、何人かのジェームズが載っていましたが、ジェームズ・ケローはいなかったのです。
この時、老艦長は「(アラバマ号と)発音が似ているため、アリゾナ号と混同しやすい」と教えてくれました。アリゾナ号も敵の攻撃を直接受けていたことがわかり、メアリーたちはアリゾナ号を調べることにしました。
彼女はチャーリーが海軍の船に乗ったことがなかったのに、船に乗った途端、まるで経験豊富な海軍士官のようになった事に気付きました。
数ヵ月後、ようやくアリゾナ号の召集令状のコピーを手に入れることができ、そこには確かに「ジェームズ・ケロー」という名前がありました。
ジェームズ・ケローはサンフランシスコ出身ということがわかり、メアリーは、サンフランシスコに行って、ジェームズの両親であるケロー家の人たちと話をすることも考えました。
しかしメアリーは最愛の息子を失ってしまうのではないか、チャーリーに変な影響を与えてしまうのではないかと心配し、彼が大人になってからその住所を教え、訪問するかどうかは自分で決めてもらおうと考えました。
レンツ博士は、メアリーの説明を聞き、証拠を探しました。ジェームズ・ケローはアリゾナ号に勤務していたことが確認されました。そしてチャーリーの話したとおり、船が被弾して沈没したとき、ジェームズは他の3人と一緒にイカダで脱出し、その後、彼と仲間の遺体は、沈没船の近くの無人島で発見されたことが確認されました。
(翻訳・呉 思楠)
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