8月のレバノン爆発、人類史上最大級 爆風は宇宙に到達=北海道大学など研究報告

レバノンのベイルート港で昨年8月4日に起きた大爆発は、核実験を除けば、人類が引き起こした爆発の規模としては歴史上最大級だという。発生した爆風は宇宙に到達した。オンライン学術誌は2月2日、北海道大学大学院とインド国立理工学院の共同研究グループの研究報告を発表した。

研究グループは、イスラエルの全球航法衛星システムGNSS観測網が観測したベイルートの大爆発のデータを分析した。それによると、大爆発により生じた爆風(音波)は高度300キロメートルに達し、通信障害を引き起こす電離圏擾乱を引き起こしていたことがわかった。

電離圏擾乱は、2004年の浅間山、2011年の霧島新燃岳、2015年の口永良部島の各噴火によっても発生している。報告によれば、ベイルート大爆発による電離圏撹乱は、過去の爆発的火山噴火により引き起こされた現象と同程度になる。このため、「人類が引き起こした爆発の規模としては核実験を除くと歴史上最大級」と結論づけた。

研究報告は2日付のオンライン学術誌「サイエンティフィック・レポート(Scientific Reports)」に掲載された。

大紀元は、電離圏擾乱や太陽フレアなどを観測する「宇宙天気予報センター」を運営する、国立研究開発法人・情報通信研究機構に問い合わせた。同センターは、「レバノンにおける8月4日の大爆発について、こちらでは特に電離圏擾乱を観測していない」と回答した。

レバノン当局は、2020年8月4日にベイルートの港で発生した大規模な爆発の原因物質は、港の倉庫で6年間放置された、揮発性の化学物質である硝酸アンモニウムが原因としている。この爆破事故により203人が死亡、6500人以上が負傷し、30万人が住居を失った。

オンライン接続データを監視し公表するネットブロック(NetBlocks)によれば、爆発直後、レバノンのインターネット接続量は大幅に低下した。当時、爆心地に近い電力や通信インフラが影響を受けたと伝えた。

(編集・佐渡道世)