麻城県に、ある縉紳(しんしん※官位が高く、身分のある人)がいました。彼は、長い間かけて貯めた資金を使って、20年前に売り払った20数畝の土地を取り戻そうとしていました。
縉紳には12歳になる息子がいて、息子はこのことを知って、父親に対して、「もし私たちがその土地を取り戻したら、現在の土地の持ち主は大損することになります。仮に取り戻せたとしても、私たちはこれまでの善行を失うことになるでしょう。さらに、私たち家族にはまだお金が残っているため、田畑を買えない心配をする必要があるでしょうか?どうしても、彼らの命であるその田畑を取り返す必要がありますか?お金のない彼らは、資産を貯めるのが大変困難です。それに比べて、私たちが田畑を買うのは比較的簡単です。彼らが、私たちの払ったお金で新しく田畑を買うとしても、元の面積の半分しか買えません。彼らにお金を渡した後に、すぐに無くなってしまうのですよ?」
縉紳は息子の話を聞き、しばらく黙った後、「息子よ、お前の言ったことは正しい。しかしお墓のそばの18畝は、お墓掃除や先祖を祀るのに便利であるから、取り戻さなければいけない。他はいらないよ」
息子は、「そうであるなら、今の農地の値段で買い直すべきであって、取り戻すといったことを言うべきではありません」
縉紳は息子の言ったとおりにしました。すると、村人はとても感激し、猛将の小祠で彼らのために祈るようになりました。
数年後、息子は18歳になり、連続して科挙試験に合格し高官として仕え、役人として厳州の長官にまで昇進しました。
ある日彼が馬に乗って川を渡っていた時、馬が飛び上がると、どこからか猛将が空中に現れ彼に手を差し伸べ、橋のそばに座らせてくれました。その時彼は、村人が祈ってくれていたために、神が守ってくれていたことに気づきました。縉紳の息子は、80数歳で生涯を終えました。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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