大企業の最高経営責任者(CEO)や事業に成功した人物の多くは、贅沢な生活より質素な生活を好みます。例えば、フェイスブックの創始者マーク・ザッカバーグ(Mark Zuckerberg)氏は妻とハネムーンに行ったときにマクドナルドで食事したことがあると知られています。
近現代中国の有名な指導者・蒋介石もその簡素で自制心のある生活で有名です。彼は常にこう言います。「私は今全国の最高責任者ですが、正式な儀式以外の時の私の私生活は、行動、思想、精神において、一兵士と何ら変わりません。(中華民国29年5月12日、党と政府訓練班第8期に対する開校講演)
辞職したシェフ
蒋介石の個人の伝記の中にはこのような1つの小話があります。
フカヒレや魚介類が得意な有名シェフがいました。彼は蒋介石の公邸にシェフとして推薦されましたが、3ヵ月後に辞表を出しました。その理由を聞かれると、シェフはこう答えました。「蒋委員長(蒋介石に対する呼称)は毎日2品か3品の寧波の小皿料理しか食べません。私は実力を発揮する所がないからです」
彼はその他のことにも言及しました。「委員長の朝食はたいていお粥です。たまに小鉢のタンメンを食べ、漬け物を少し合わせる程度です。宴会でも普通は料理4品にスープ1品です。外国人の来賓やジャーナリスト、華僑の同胞を接待するのも、通常は簡単なお茶と菓子だけです」
素朴で倹約的な日常生活
蒋介石は喫煙と飲酒をしませんでした。お茶も飲まず、沸かした水を飲みました。1本のバナナを食べるときも、午前に半分食べて、残りを午後に食べていました。
かつて、蒋介石と夫人は桃園角板山行館へ遊覧しに行く時、自ら厨房に降りて調理し、孫2人と一緒に食事をしました。食後に部下が2切れのスイカを持ってきたときに、蒋介石はスイカをナイフで切り、食べ物を大切にして浪費しないようにと孫に教えました。蒋介石は一国の元首であるため、贅沢しようと思えば最高級のごちそうを食べられるのですが、彼は質素な生活スタイルを変えたことはありません。
服装に関して、蒋介石はおしゃれに気を使いませんでしたが、清潔さには特に注意を払っていました。重大なイベントがある時や外国からの来賓と接見する時には軍服を着ましたが、通常は中山装(中国男性の正装)あるいは私服で過ごしていました。服は6~7年以上着るのが普通で、すり減ってもう着ることができないときには補修していました。彼の普段着や軍服、下着、毛糸のセーターは、ぼろぼろにならない限り捨てませんでした。
住居も至って簡素で、自分の部屋にベッドと机さえあればよかったのです。もし警備員が見張りをしていなければ、誰もこれが総統の部屋だと分からないくらいでした。国民党の元老級の人物・呉鉄城氏はこう言ったことがあります。「蒋介石はふだんの生活においてほとんど娯楽をせず、まるで苦行僧か清教徒のようでした」
(文・仰岳 / 翻訳・襄譲)※看中国より転載
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