【党文化の解体】第4章(15)

【大紀元日本6月3日】

4.党文化がなければ、もはや正常な話し方や思惟ができなくなっている中国人

1)人々の思想を統制する党文化の言語体系(後半)

中共の政権奪取後、中共の統制下における大衆は、中共の政教統一による独裁統制の牢獄に入れられてしまった。しかし、中共の宣伝では、これは「解放」であるという。中共の中華民族の正統文化に対する蹂躙、中国人に対する迫害は如何なる異族のその行為を越えるものである。しかし、中共はこれを「新中国」と称する。中共の「瑞金ソビエト革命政権」(※)が行ってきたのは国家分裂活動であると言わざるを得ない。旧ソ連に身を寄せる売国政権である。中共の「長征」は実は大逃亡に過ぎないのである。南泥湾の「大生産運動」は実は違法の鴉片(アヘン)栽培運動に過ぎないである。中共の「延安整風運動」は実は人の耳目を脅かす人間地獄たる精神迫害に過ぎないである。何千万人の餓死者も出した「三年自然災害」は実は天災ではなく、人禍に過ぎないである。「文化大革命」は実は文化大破壊、全国民への洗脳、政治大粛清に過ぎないである。「改革開放」は実は高圧専制の一時的な緩和であり、中共の自己救命の手段に過ぎないである。この類のものから、もし真実の歴史的事件の十分の一さえ還元すれば、中共によって作り上げたすべての人騙しの「党話」を暴露させることができる。しかし、中共による洗脳と言語独占により、人々はずっとそれらの言葉を使い続けている。これらの言葉を本当に取り消せれば、多くの人が如何にこれらの歴史的事件を理解し、評価するかが分らなくなるに違いないであろうし、正常な喋り方も分らなくなるであろう。

南泥湾の「大生産運動」は実は、ケシを植え、アヘンを製造していたに過ぎない(大紀元)

間違いなく共産党に迫害されていたが、一旦「名誉回復」をされたら、却って共産党に対して恩義深く感謝するような行動をとる。人権問題を採りあげると、「政治運動をやっている」と言う。西側の先進国が中共を批判すると、これは「反華勢力」だと言い返す。海外の華人が中共の暴行を抗議すると、「愛国心がない」「恥をかかせる」と言い返す。中共が大量の領土を割譲したと聞いたら、却って売国者のための言い訳を探す。まるで庶民のあずかり知らない「偉大な見通し」を党が考えているかのようである(例えをすると、自分の身が売られたのに、買主の替わりに身代金を数えてあげる)。中共の中央テレビによる一年三百六十五日の洗脳を受けても普通だと思っているのに、中共の悪行を暴露するいくつかの真相電話や真相電子メール、あるいは何十分間の真相ビデオの放映を見たら、これは「社会秩序を破壊している」と思い込んでいる。ある犯罪者に対して、人々はその犯罪者の責任を問い、法による制裁を求めるのが当然のことであろう。しかし、中国共産党の歴史上において犯した筆舌に尽くしがたい罪悪に対しては、人々は却って中共は過ちを犯しやすいが、「勇気を持ってその過ちを改めることができる」と思い込んでいる……人々は自然に表れる思惟の中で出てくる「名誉回復」「政治を振舞う」「反華勢力」「愛国心がない」「恥をかかせる」「偉大な見通し」「社会秩序の破壊」「勇気を持って過ちを改める」等等の表現は、すべて中共が気炎を上げて宣伝してきた言葉ばかりである。しかし、これらは既に人々の思惟考えの理論的基礎となってしまったのである。

現代中国における、人々の口癖の多くは中共党文化の言葉である。例えば、「同士」「貫徹」「領導」(指導者)「号召」(呼びかけ)「基本原則」「基本路線」「社会主義初級段階」「×××特色」「×××を徹底的に行う」「共産党と対抗するなら、よい結末なし」「共産党がなければ、新中国がない」「親父も親しいお袋も親しい、どっちも共産党に及ばない」「共産党の話を聞き、共産党について行け」「毛沢東の兵士が最も党の話しを聞く」「団結は力なり」「赤星が照らし我らが戦いに行く」「毛沢東思想の偉大な旗印を高らかに掲げ」「社会主義の大道へ歩く」「革命はお世辞ではない」「情勢は大変宜しい」……、これらの党文化的表現を消せば、多くの人の日常生活上の基本的な話し方は大変難しく感じられるかもしれない。党文化言語の中国人に対する抑制作用は、一般の人々の想像を遥かに超えるものである。

2)党文化の思想の中から生まれる所謂「新語」

「党の話し方」は停滞不変のものではない。人々の頭の中から形成された党文化的思惟はまるで加工工場のようなものである。機械と工程は皆出来上がったものであり、新たな情報や社会的新現象は党文化的思惟による加工の過程を経れば、新たな「党の話し方」にと変身してしまう。これらの表現は党の系統に属し、党が必要とする含意が植え付けられている。しかし、従来の赤裸々の党の意志形態内部の表現ではないので、却って識別しにくくなっている。

今日ネット上でかなり流行している英文字の「FB」と言う表現がある。この二つの英文字はもともと「腐敗」という中国語の注音(ピンイン)の頭文字であるが、それを一般の「食事会」と言う意味で使われている。「今日はちょっと腐敗しに行く」(今日はちょっと食事会に行く)と言うように「腐敗」をそのまま使う人もいる。この表現は一般の民衆の間で作られ、それ自身は中共が作り上げたものではないが、しかし、この表現は党文化の思想の影響の下で作られたものである。この表現により、本来マイナスのイメージがある腐敗行為を正当化させ、世間の腐敗行為に対する道徳的圧力を弱体化させてしまった。腐敗現象が随所見られている事実を暗に認めていることにもなる。中共の腐敗はたいしたことはないと暗示する。このようなことは、まるで人々がもし日常の正常な行いが強盗であると習慣として馴らされれば、本当に強盗をやっても恥じないと思うようなものである。

「弱勢集団」という言葉も民間から作り上げられた表現である。頻繁に使われるようになったため、2002年から中共の公式文書の中にも登場し始めた。この表現は、一般的には社会の変革という「大潮流」に適応できなくなっている弱体化された集団のことを指す。(今日の中国では)例えば国有企業からリストラされた失業者、農民工(農民出稼ぎ労働者)等の人々を指す。党文化の弱肉強食、適者生存の邪説の影響の下では、これら弱者は「生存競争」の中で劣勢になってしまい、社会体制の変革に適応できず淘汰されるべき集団であると、一般の人々がそう思っている。このように考えているのは、所謂「弱勢集団」を作り上げた本質となる中共の非人間性的専制的制度そのものであるという事実が根本から隠されたからである。この集団は実は中共の専制制度によって圧迫され、権益が収奪されている集団である。中国の最大の「弱勢集団」である農民を例にとって見れば、中国の農民が政治と経済上において長期にわたって低い地位にさらされたのは、完全に中共の差別視された結果である。この種の差別は悪名が高い過去の南アフリカの種族隔離政策(アパルトヘイト)と匹敵できるぐらいである。四十年ほど前、中共が編集した小学校の地理教科書の中に南アフリカに関する叙述を見てみよう。読者たちは中国の農民たちとアフリカの黒人の境地を見比べてもよいであろう。「南アフリカ連邦政府は『通行証法』、『種族隔離法』、『奴役法』など七十以上の種族差別と弾圧のための法律を相次いで公布した。一つの法律は一つの枷と鎖となり、アフリカ人の権利と自由は完全に略奪された。『通行証法』を例にとって言えば、この法律の規定に拠れば、十六才以上のアフリカ人は〔身分証明証〕〔移住証〕〔求職中証明証〕〔納税証明〕〔居住証〕など二十以上の証明証を持ち歩き、警察の検査に備えかなければならない。もし証明書の数が揃わなければ、あるいは携帯を忘れた場合、職も就かない遊び人として逮捕されてしまうのである。南アフリカ連邦警察局の報告によると、1958年一年だけで、およそ六十万人のアフリカ人が『通行証法』と『検査法』を違反したことにより逮捕された」という。しかし、党文化の洗脳下では、中共の差別政策を明確に認識し、それに対して合法的手段で権利を求める人はそれほど多くはないのである。

ここ数年、多くの代表的な所謂「新語」、たとえば「中国の特色」「四つの現代化」「初級段階」「小康(幾らかゆとりのある)社会」「下崗(リストラ)」「待業(職を待つ)」「非公有制経済」「思想道徳建設」「扶貧(貧弱を扶植する)」「三講(党幹部は「学習」「政治」「正しい気風」の三つを重んじるべきだとする内容)」「三つの代表(「先進的な社会的生産力の要請」、「先進的文化の発展」、「広範な人民の根本的利益」の三つを代表するという思想)」「徳を持って国を治める」「時と伴に進歩」「不健康内容(社会風紀を乱れる内容)」「有害消息」「平和的勃興」「科学をあがめ尊ぶ」「科学的発展観」「和諧(調和の取れた)社会」「政務執行の力を高める」等等。これらの単語も皆党文化の産物であり、中共によって特定の含意が植え付けられ、中共はこれらの「新語」を持ってその統制を維持しようとする。ある消息が害であるか否かは一般大衆に対してではなく、中共にとって「害」をもたらすかどうかである。「勃興」を声高らかに謳っているのは、ただ民衆に民族主義の名のみで実がない希望を与え、社会的危機を忘れさせ、中共の統制を擁護するためである。中共は「三つの代表」後、「八恥八栄(「社会主義栄辱観」と呼ばれるもので、胡錦濤が国民に提唱した文明的な国家建設を樹立するための道徳紀律のようなもの)」を打ち出した。実のところ、中のどの内容も党文化の範囲内で、何が封建迷信なのか、何が科学を尊重するというのか、愛国主義とは何かを教えているのであって、完全な中共党文化の定義となっている。共産党に合致しさえであれば、「科学を尊重する」ことになり、共産党を擁護しさえすれば、「愛国」主義だというのである。

※瑞金…中国、江西省南部にある県、1931年から34年まで中国共産党の本拠地となり、中華ソビエト臨時政府が置かれた。ロイチン(スーパー大辞林)

(続く)