【大紀元日本2月23日】シュエタン(Xue Tan)は、チンチーン(Qin Qing)先生のもとで長い間、歌を学んでいた。ある日、シュエタンはチン先生に、故郷へ帰りたいと申し出た。
シュエタンは、すでに歌についてはすべてを学びつくしたと思い、自分の歌唱力にも自信があったのである。
チン先生は、それを聞いても動揺したふうもなく、不機嫌になることもなく、ただひたすらシュエタンに歌を教えた。シュエタンが出発する日が近づくと、チン先生は、シュエタンのために送別の宴を開き、そこで別れの歌を披露した。その歌は、とても情感あふれるもの悲しいメロディーで、聴衆をうっとりさせる素晴らしい歌声に、屋敷のまわりを覆う木々の葉までもが感動して揺れていた。
シュエタンは、恥ずかしさにうつむいた。なぜなら、シュエタンの歌は、チン先生の足元にも及ばず、自分にはまだ長い学びの道があることを知ったからである。シュエタンは、チン先生の前に跪き、もう一度彼の門徒となり一から歌を学びたい、と申し出た。チン先生は、快くシュエタンを許し、また次の日から何事もなかったかのように、歌を一生懸命教えた。
芸術を学ぶにしても、学問を究めるにしても、その道は長く尽きることがない。自惚れや傲慢さは、人の成長を止めてしまうことがある。謙遜の心で常に精進することを忘れなければ、いつかは必ずゴールに達することができるだろう。
(記事・ドイツ語大紀元、翻訳編集・田中)
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