【大紀元日本5月20日】テレビのニュースでは暴力、殺人、詐欺などの報道が溢れている。子供たちに人気のドラマやアニメにも、暴力、いじめ、争いの類の番組しかない。子供たちは毎日、悪意に満ちた、はらはらするようなテレビ番組を見ているのだ。
学校は小さな社会であり、そこで出会う問題は、子供にとって結構重大だ。彼らは友達とケンカになると、テレビから学んだ方法で問題解決しようとする。いわゆる、「声が大きい者ほど、勝っている」という論理や、「忍耐することや冷静になることは、つまり負けである」といった考えを持っているため、やられたらやり返すのが当たり前になっているのだ。
先日、私は美術の授業の時に、一枚の大きな白い紙を用意し、クラスの皆で一枚の絵を完成させようとした。皆で描く場所を分担し、協力して一枚の絵を完成させることは、小学生にとって難しい課題だ。議論したり、争ったりすることもあると思うが、彼らに小さい時から、話し合いで問題を解決する能力を身につけさせたいと思ったのだ。
すると、予想通り3分もしないうちに、争いが始まった。
「ここに書かないでよ!」
「ねえ、こうじゃないよ、いったいやり方が分っているの?」
「書き間違っているよ!私がやるよ!」
「いやだってば!先生、先生!」
早速、私の出番だ。
「問題が起きたら、その問題の解決方法を皆で考えてごらん。ケンカしても絵は進まないし、声がうるさくなるだけでしょう!」と私が言った。ようやく皆静かになった。
しかし、またすぐに、二人の子供が小声で喧嘩を始めた。でもその時は、私は黙っていた。まだ二年生だから、多少のケンカは仕方ないかもしれない。またうるさくなったら、私が割って入ればいい、と考えていた。
するとその時、小さな声が耳に入った。「先生が言ったでしょ、ケンカは無駄だって!」隣でケンカする2人を見ていた淳淳の声だった。
すぐ側にいた祐祐も、「そうだよ。早く解決方法を考えたほうがいいよ。」
友達の影響力はさすがだ。二人の子供はすぐにケンカをやめ、一人は先にごめんねと謝り、もう一人も「じゃ、あなたはここに書いて」と場所を譲った。その後は何もなかったように静かになった。子供達の純真さを目の当たりにした私は、小さな感動を覚えて、彼らをじっと眺めていた。
大人が子供たちに教えられることはたくさんあるが、その原則のひとつは「身をもって範を示す」ことだ。私たち大人が、ちっぽけな勝利感を得るために他人と争い、時に暴力、策略を使っているとき、子供たちはしっかりと見ているだろう。子供たちがまっすぐに、正しく成長するために、私たち自身が争いを止めなければならない。
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