【大紀元日本7月6日】朝な夕な星降る音の瞬きの調べが一等美しく、銀河のそこかしこから互いを偲び合う声が聞こえて来ます。ふと見上げると七夕姫が銀河の岸辺に佇み、天の光の水戸を開きつつ滔々(とうとう)と流れる水脈のせせらぎを口ずさみながら、機織る歌に合わせ手足を舞い躍らせて絹の恵みの雨を降らせるのです。耕された大地を潤して海の彼方の水底へと光の道を辿って私の中を通り過ぎてゆきました。
どこか見覚えのある懐かしい感覚が私の胸の息遣いに、星が一言つぶやく様に輝きました。七夕姫が贈って寄越した絹の羽衣の機織る歌に合わせて大地の畑を耕しながら、牛と共に暮らした日々に流した一粒の汗の中に、銀河の恵みが今も流れています。七夕姫は天に輝く星の光を紡いで織った羽衣を彦星に手渡して大地に拡げます。そうすると大地は星のリズムに織り成されて豊穣な実りの歌を銀河に返すのです。かつてこのような偲び愛が、銀河を照らす大地のそこかしこで生起していました。このようにして地球の大地は銀河の営みによって織られ、そこに住まう人々に豊穣と幸をもたらす大地の礎(いしずえ)が固められたのです。やがて絶えず営みを交し合った銀河の果てと大地の縁(ふち)の絆は天に戻された羽衣とともに去ってゆきました。
こうして神話のような七夕伝説を経て、一年に一度、人々の祭りの中に銀河が果たした営みの記憶を今に留める事になったのです。天の光分かたれた五色の絹短冊を揺する七月の夕べの涼風に、一年に一度の願いを届けてみましょう。
(イザヤ・パンダさん)
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