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認知症を遠ざけるには──脳のマイクロプラスチックを排出する方法

あなたが毎日飲んでいる水、食べているご飯、そして吸っている空気に、目に見えないプラスチックが含まれているかもしれないと考えたことはありますか? 環境中のマイクロプラスチックは、慢性病の隠れた原因となりうる存在です。特に脳に入り込んだマイクロプラスチックは、認知症のリスクを高める可能性があります。高繊維の栄養食、ツボマッサージ、生活習慣の見直しなどで、これらをより早く体外へ排出することができます。

マイクロプラスチックとは、一般に5mm未満の大きさのプラスチック粒子を指します。研究によると、人は毎週約2000個、重さにして約5g、クレジットカード1枚分のプラスチックを摂取しているとされています。

これらのマイクロプラスチックは、ペットボトルの水、紙コップの防水層、ラップ、化学繊維の衣類、マスク、スクラブ洗顔料、プラスチック製のおもちゃ、テーブルマット、化粧品など、日用品から発生することがあります。また、海洋にもマイクロプラスチックが存在するため、魚介類にも残留している可能性があります。
 

認知症患者の脳に蓄積されるマイクロプラスチック

体内に入ったマイクロプラスチックの多くは、便、尿、汗などで体外に排出されますが、一部は体内に蓄積されることもあります。『ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)』2024年2月号の研究によると、ニューメキシコ州で2019~2024年に亡くなった認知症患者の脳サンプルでは、脳組織1gあたりのマイクロプラスチックの中央値が2万6076μgで、1997~2013年にかけて東部アメリカで収集されたサンプルに比べて20倍以上も高い数値でした。

マイクロプラスチックが直接認知症の原因になることは証明されていませんが、認知症患者の脳には、脳萎縮、血液脳関門の損傷、異物除去機能の低下といった特徴があり、こうした状態がマイクロプラスチックの蓄積を助長している可能性があります。
 

脳のデトックスを助ける3つの方法

では、脳のマイクロプラスチックを排出する力をどう高めればよいのでしょうか? 主に次の3つの方法があります。

1. 十分な睡眠

脳には老廃物を排出する「グリンパティックシステム(膠リンパ系)」という仕組みがあり、これは主に睡眠中に活性化します。『セル(Cell)』誌に掲載された最新の研究によると、睡眠中には脳の血管が一定のリズムで収縮し、このときに脳脊髄液の流れが活発になり、老廃物を運び出すのです。ただし、睡眠薬を使って眠る場合、この脳脊髄液の洗浄作用が抑制される可能性があります。

このことからも、十分で質の高い睡眠は脳内の老廃物の除去に役立ち、不足すると脳の健康が損なわれ、認知症リスクも高まる恐れがあります。

2. 経絡マッサージで脳脊髄液を活性化

中医学では、脳脊髄液は「督脈」というエネルギーの経路に属するとされています。督脈は背骨に沿って通る重要な経絡であり、就寝前に頭や首のツボをマッサージすることで、脳脊髄液の流れが良くなり、睡眠の質向上にもつながります。

おすすめのツボ:

頭頂部の「百会」から、後頭部中央の「風府」「唖門」、さらに両耳の後ろにある「翳風」、首の後ろのくぼみにある「風池」などを軽くマッサージします。

 

就寝前のブラッシング

寝る前に、眉間から頭頂を通り、首の方へとブラシで15~20回とかします。ある不眠の患者は「これを15回したらすぐに眠くなった」と話していました。
 

3. 運動で脳を「掃除する」

睡眠だけでなく、継続的な運動にも脳の老廃物除去を促進する効果があります。『ネイチャー・コミュニケーションズ』誌の2024年4月号に掲載された研究では、継続的な運動習慣が、脳のデトックス機能を担うグリンパティックシステムや脳膜リンパ管の流量を増やすことが明らかになりました。

この研究では、1回きりの運動ではなく、「週3回・1回30分間・12週間連続」の運動を行ったグループで最も脳のデトックス機能が高まり、炎症関連のタンパク質が減少し、免疫関連のタンパク質が増加するという結果が得られました。
 

体のデトックス力を高める方法

プラスチックが脳に到達するのを防ぐには、まず体全体のデトックス機能を強化することが大切です。特に排便の促進と肝腎のケアが重要です。中医学では、肝臓と腎臓が解毒機能と深く関係しているとされています。
 

1. 腸のデトックスを助ける乳酸菌

多くのマイクロプラスチックは食事から体内に入るため、腸のデトックスは最初の防衛線となります。乳酸菌や野菜・果物を摂ることで便通が良くなり、腸から吸収されるマイクロプラスチックを減らせます。

  • 乳酸菌を含む食品:副乾酪乳酸菌はヨーグルトやケフィアに多く含まれ、植物性乳酸菌は味噌、納豆、キムチ、ザワークラウト、ピクルス、オリーブの漬物などに含まれます。

研究によれば、植物性乳酸菌の一部にはマイクロプラスチックを吸着する作用があり、動物実験では排出量が3割以上増加したとの報告があります。
 

  • 食物繊維:腸の蠕動運動を活性化し、体内のマイクロプラスチックを早く排出します。特にドラゴンフルーツ、白キクラゲ、黒キクラゲは便秘の改善に効果的です。
     
  • フィトケミカル:ビタミンやフィトケミカル(クルクミン、フラボノイド、ケルセチン、含硫化合物など)もデトックスを助けます。特にアブラナ科の野菜がおすすめです。
     
  • 腹式呼吸:腹式呼吸によりお腹までしっかりと空気を入れると、腸の蠕動運動が促進され、便秘の解消に役立ちます。
     

2. 腎臓のデトックスを促進する水分摂取

腎臓の解毒力を高めることで、尿からマイクロプラスチックを排出できます。水分補給や補腎食材、足湯が効果的です。

  • 水分補給:体重50kgの人は1日最低1500ml、夏場は2000ml以上の水を目安に摂りましょう。私は毎朝・昼・夜に水を決まった量ずつ飲むようにして、忙しいときでも忘れないようにしています。
     
  • 補腎食材:中医学では、黒い食材が腎を養うとされており、黒豆、黒ゴマのほか、山芋、栗なども推奨されます。
     
  • 足湯:腎経(腎のエネルギーの流れ)は足裏の「湧泉」から始まります。足湯や湧泉のマッサージで腎を元気にし、解毒機能を高めましょう。

 

3. 肝臓のデトックスには「よく食べてよく眠る」こと

マイクロプラスチックは毒性のある化学物質を吸着して体内に持ち込むため、それを代謝する肝臓への負担が大きくなります。食事と睡眠で肝臓を守ることが大切です。

  • おすすめの栄養素:グルタチオン、セレン、亜鉛、ビタミンB群、カテキンなど。
     
  • 肝臓を助ける食材:アーティチョーク、ウコン、クコの実。研究では特にアーティチョークは非アルコール性脂肪肝の改善にも役立つとされ、ウコンのクルクミンは抗酸化力を高め、クコの実に含まれる多糖類は肝機能の保護に有効です。揚げ物、アイス、甘いものは控えて、炎症や痰湿体質を悪化させないようにしましょう。
     
  • 23時前に就寝:中医学では、夜11時から午前3時は肝胆のエネルギーが最も盛んになる時間とされ、深い眠りが肝胆の修復を助けます。
     
  • ツボ:「曲池」「太衝」のマッサージが肝の働きを助けます。
     

4. 汗をかいて肌からもデトックス

ほとんどのマイクロプラスチックは皮膚バリアを通過できませんが、研究によれば、一部のマイクロプラスチックは皮膚に付着し、可塑剤を体内に運び込む可能性があります。化学繊維の衣類からもマイクロプラスチックが剥がれるため、肌に触れる下着や衣類は天然素材を選びましょう。

皮膚のデトックスは「汗」です。運動、入浴、サウナなどでしっかり汗をかくことで、体表からもデトックスが可能です。

(翻訳編集 華山律)

張瑛瑜