デンマークのユトランド半島で、珍しい三日月型の金のイヤリングが発掘されました。専門家によると、これは1000年前にビザンティン王家からバイキングの戦士のリーダーたちに贈られたものかもしれないとのことです。このようなユニークな金の装飾品は、これまで北欧諸国では出土していません。
この美しい遺物は、54歳のトレジャーハンター、フランツ・フグル・ヴェスターゴー氏が西ユトランド州のボーヴリング近くの野原で金属探知機を使って発見したものです。
デンマーク国立博物館のプレスリリースによると、ヴェスターゴー氏は「わたしにとって、その瞬間、時が止まったかのようでした」「まったく信じられないことです」と述べています。
このイヤリングは、長さ約3cmの小ぶりでチャーミングなデザインです。ゴールドのフィリグリー(金細工)とビーズで装飾された半月のメダルには、色ガラスがセットされ、溶かした金属エナメルで作った2羽の鳥と生命の木の植物的シンボル、両端にはパイク(槍の一種)を模した大きなゴールドビーズが施されています。11世紀に作られたものであることが確認されました。
デンマーク国立博物館の博物館検査官であるピーター・ペンツ氏は、この珍しいイヤリングは、バイキングが通常旅先から持ち帰る数千枚の銀貨とは異なるものだと述べました。この遺物はビザンティンまたはエジプト起源で、その様式と細工は1683年にデンマークのリングステッドの女王の墓から発見されたビザンティン帝国の有名な遺物であるダグマール・クロスに似ています。
「私たちにとって、それは完全に独特なものです。現在、これらの装飾品は世界で10〜12個しか見つかっておらず、スカンジナビアでこれまでに見つかったことはありません」とペンツ氏は述べています。
博物館によると、この貴重な装飾イヤリングは貿易品ではなく、王が自分に仕えた人々に贈ったものだといいます。多くのバイキングがビザンチン帝国の君主の護衛を務め、信頼できる護衛には高級品が贈られることもあり、デンマークでは過去に中東の絹や武器が発掘されたこともありました。
「贈り物を受け取ったバイキングの戦士がそれをユトランド半島に運び、その後デンマークで状況も分からず紛失したわけです」とペンツ氏は言います。
金のイヤリングが見つかった場所の近くにあるデンマークのホルステブロ博物館の考古学者で、博物館検査官のアストリッド・トフトダル・イェンセン氏は「この発見は、西ユトランドが常に世界と密接な関係にあったことを裏付けるものです」と語っています。
(翻訳・里見雨禾)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。