畳の和室を改造してフローリングの洋室にすることは、今の日本でよく行われています。
一方その逆(つまり洋室を和室に作り替える)は、おそらく、ほとんど実例がないのではないでしょうか。
フローリングとは、床面を表面加工した木質の建材で覆い、広々とした解放感と現代的なおしゃれ感を演出できる室内設備の一種です。
フローリングは多分に洋風な雰囲気をもつものですので、古い日本家屋には見られなかった景色です。とは言うものの、実は、板張りの床を尊重して、とことん磨き上げる価値観を日本人は昔から持っていました。
それは、例えば剣道場や禅寺の道場のように、高い精神性や鍛錬をともなう場所における「磨く」に通じるからです。
「磨く」とは、すなわち心技体を錬磨すること。それはまさに日本人の好みに合った一途な行為と言ってよいでしょう。
さて、日常生活の場である屋内のフローリングは、武道の道場のように雑巾を走らせてぴかぴかに磨く必要はないのですが、やはり日々を快適に過ごすために、あるいは家屋を長持ちさせるために、適切な手入れをしながらきれいに使いたいものです。
インクをこぼしたり、水をたらしたり、料理の皿を落としたりして床が汚れた場合は、すぐに対処する必要があります。ものを落として汚れるのは避けられませんが、数分以上、床につかないようにしましょう。
こぼれたものをペーパータオルや雑巾で除去した後、しぼった濡れ雑巾やモップで床板を拭きます。続いて、必ずマイクロファイバーの布で強く拭き、スジが残るのを防止してください。
毎日の掃除は、木製の床面を柔らかいほうきや掃除機で清掃し、ほこりやゴミを取り除きます。部分的な汚れは、ウェットティッシュで軽く拭けば落とせます。
小さな破片でも、その上に座ったり踏んだりすると塗装面に傷がつき、最終的には目に見える摩耗につながります。
週に1回、乾いたダスターモップで床を拭きます。
特に、部屋の隅や家具の陰にたまったホコリを取り除きましょう。カーペットやマットなどの敷物がある場合は、必ず動かして、その下の汚れやほこりを取り除きます。
上記のような日常清掃を励行していれば、ひどい汚れに悩まされることはほとんどありません。
あとは季節ごとに1回、年4回の大掃除として、家具を移動させてのモップがけなどで十分です。
ただし、木の床を洗剤や水で浸してはいけません。フローリングの床にびしょ濡れのモップをかけないでください。
過剰な水分は床面の塗装を変質させますし、最終的には床板が曲がって変形してしまいます。
(翻訳編集・鳥飼聡)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。