やめたいけど、やめられない。逃れたいけど逃れられない。薬物中毒からの脱却は、困難を極めるのが常だ。クレイグは酩酊と高揚感を求めて薬物を使用した後、いつも後悔していた。「もう、二度と薬物は使いたくない」
オーストラリアのメルボルン市に住む40歳のクレイグ・リッチャー(Craig Richter)が初めて薬物に手を出したのは14歳のときだった。初めはマリワナ、その次にLSD。そのほか様々な薬物を試した後、最後には覚醒剤にまで手を出すようになった。ホームレスになり、お金は全くなかった。30歳のとき、薬物を手に入れるためにギャングの仲間入りもした。薬物漬けのリチャードは、そのうち幻覚を見るようになり、仕事に就ける状態ではなくなった。惨めな人生だった。「本当に、ここに横になったまま死にたいと思ったよ。別に死んでもいいやってね」
ある日、クレイグはクイーンズランド州のキングズ・ジョージ広場のベンチに横になっていた。すると、一人の男性が気功をしているのが見えた。「彼を見ていたら、とても面白そうだと思ったんだ。僕もやりたくなった」
男性は気功のやり方を親切に教えてくれた。それは、法輪功という気功だった。気功と心の鍛錬により、心身を浄化していく鍛錬法だ。クレイグはその男性から気功を習い、同時に法輪功の本である『転法輪』も読んだ。毎日2週間ほど煉功を続けた後、彼は自分が確実に変わっていくのが分かった。「大きな変化を感じた…。僕の考えが変わったんだ。特に煉功している時、ポジティブな気持ちになり、それがずっと続くようになったんだ」
心は落ち着きを取り戻し、強くなるのと同時に、周囲の環境も変わっていった。突然、仕事の依頼があり、面接を受け、合格。新しい勤務先は、住む家も与えてくれた。すべては法輪功を習い始めて一ヶ月以内に起きた。
クレイグはその後、法輪功が伝える「真・善・忍」に従って自分を律するようになった。煉功と『転法輪』を繰り返し読むことにより、自分に欠けていたものが回復していくのを感じた。それは、人生の中で正しい選択をし、何がよくて何が悪いのかを見極める力であり、堕落していた道徳観だった。「まるで、僕は突然拾われて、180度向きを変えられ、それまでと全く反対の方向に歩かせてもらっているような感じだった」
クレイグの人生は大きく変わった。そして、彼は自分と同じような経験をしている人に希望を捨てないでと呼びかける。「自分のことは、全部自分の責任だからね。自分に問題を起こさないようにするのも・・・。なぜなら、僕自身が自分の問題の発端だったんだから。自分のことは自分の責任であり、人生を困難にしないようにするのも自分の責任さ」。クレイグは今、決して再び薬物に手を染めることはない。
(文・Dzifa Amoa/翻訳編集・郭丹丹)
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