爆竹は中国で2千年あまりの歴史があり、当初は鬼払いするものとして使われていたという。
伝説によると、昔々、「年」という恐ろしい獰猛な怪物がいた。「年」は一年中海底に住んでいるが、大晦日にだけ、上陸して家畜や人間を襲うのであった。それで、大晦日になると、人々はみな山の中へ非難していったという。
ある年、人々がみんな慌てて避難しているところへ、ある白いひげの老人が村を訪れ、あるお婆さんに「もし、わしをお宅に一晩泊めてもらえれば、怪獣『年』をきっと追い払うことができる」と願った。
老人の言ったことを信じない人々は急いで避難するよう、その老人に勧めたが、老人はどうしても一晩泊めていただきたいと願うばかりであった。それで、人々は山へ避難し、村にはただその老人だけが残された。
まもなく、怪獣「年」は現れ、例年のように村に入ろうとしたが、突然、村の中から爆竹を鳴らす音が伝わってきた。さすがの「年」もたいへん驚き、体を震わせて前へ進めなくなった。なんと、この「年」は轟音、火、赤色を怖がるものだったのである。
爆竹の音とともに、玄関は大きく開かれ、赤い長衣を身にまとっている老人が庭に立って、はっはっーと笑っているではないか。これを見て、「年」はたいへん慌てて一目散に逃げて行った。それからというもの、「年」は二度と姿を現すことはなかった。
翌日、人々は山から帰ってきた。無事だった老人を見て、みんなはっと思いついた。もしかして、この白いひげの老人は「年」退治するためにやってきた神様ではないのか。そして、人々は老人から「年」退治の3つの神器も得たのである。
それ以来、毎年の大晦日に、人々は灯籠などをともし、赤い服を着たり赤いもの(春聯や紙細工など)を張ったりし、そして爆竹を鳴らして「年」を追い払うようになった。この風習は代々伝えられ、いつの間にか、もっとも重要な祝日「過年」として定着してきた。大晦日の夜、人々が眠らず通夜する風習は今でも続いているが、これも「年」を追い払う伝説に由来したものである。
(翻訳編集・小林)
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