三国時代、許允(きょいん)という男の妻・阮氏(げんし)はとても賢明であったが、容姿は非常に醜かった。
許允が初めて彼女を見た時、彼女の醜い容貌に驚き、婚礼が終わり、来客が去ったあとも寝室に入ろうとはしなかった。しばらくして阮氏が下女に夫の様子を見てくるようにと告げると、下女は戻ってきて「旦那様はある来客とお話中です」と答えた。阮氏は「その人は桓范さんに違いありません。彼が夫に、寝室に入るよう説得しているのでしょう」と言った。しばらくすると、許允が寝室に入ってきたが、部屋を出て行こうとした。阮氏が急いで引き止めると、許允は「婦人は※四徳が備わらないといけないと言われるが、君はいくつ持っているのか」と聞いた。阮氏は「私に欠けているのは、『美貌』だけで、ほかは全部備わっています。私も君子は百の行いが備わると聞いていますが、貴方はいくつ備わっていますか」と質問した。「私は全部備わっている」「君子の百の行いは徳が第一とされていると言われますが、あなたは美貌を好んで、徳を好まないのに、どうやって君子の百の行いが全部備わっていると言えますか?」許允は言葉をなくして深く恥じ入り、部屋に残ることにした。その後、二人は愛し合うようになり共に白髪になるまで添い遂げたと言う。
女性にとって一番重視すべきものは「美貌」ではなく、「徳」である。年月が経てば「美貌」はいずれ去っていくが、人徳はいつまでも輝くからだ。
※四徳:婦人のもつべき四つの徳。婦徳・婦言・婦功・婦容。
(翻訳編集・蘭因)
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