「地球は温暖化している」=米国海洋大気庁

【大紀元日本8月5日】7月28日、米国海洋大気庁(NOAA)が、米気象学会報告書の特別補足号として、『2009年の気象状況』と題する研究報告を発表した。10年ごとに確実に気温が上昇しているなど、温暖化を確証する資料として重要視されている。

*温暖化を如実に表すデータ

今回のNOAAの報告書は、48カ国・303人の科学者たちから集めた気候変動に関するデータを、10の指標に基づき分析したもの。それによると、世界各地の地表面温度、海面温度、海水位を含む7つの指標が上昇しており、一方で海氷量、積雪量、氷河量が減少していることが分かった。データは衛星、気球、船舶など世界中の様々なソースから寄せられたもので、それらは全て「地球が温暖化している」ことを裏付ける結果となったという。

NOAAデータセンターの責任者デク・アーント氏(Deke Arndt)は、2009年は10年ごとの気象記録の区切りとして、通常の年間記録の報告に留まらず、長期的な分析を行ったと解説する。「1980年代は気象観測上、最も温暖な10年だった。しかし、1990年代に入り、世界の平均気温は毎年確実に上昇した。ここ30年間を振り返ると、10年ごとに地球が温暖化している構図が浮かび上がってくる」と、同氏は豪紙『ABCニュース』の取材に応えている。

同研究に貢献した英国気象庁の気候監視部門の責任者ピーター・スコット博士も、世界からの多数のデータを独自に分析した結果、「間違いなく、世界は温暖化の兆候がみられる」と同調する。

*気候変動を裏付ける他の報告書

米国環境保護局(EPA)は2010年4月に発表した『米国における気候変動の指標』という報告書の中で、「米国内の大気の組織構造と多くの基本的な気象測定値は、確実に変化しているという動かぬ証拠を提示している」と指摘している。

また、2010年5月と7月には、米国科学アカデミーが一連の報告書を作成し、気候変動は起きており、「長期的な結果がもたらされるため、その影響に対する準備が必要」と訴えている。

環境衛星共同研究所のピーター・ソーンズ氏は今回のNOAAの報告について、「世界が暖まっているとデータが叫んでいる。個人や少数のグループが推進しているわけではなく、多くの機関がこの事実を提示している」とコメントし、「地球温暖化の懐疑派」に警告する。

科学者らは温暖化の起因として地球温暖化ガスを挙げているが、同報告書は原因を追求するためのものではないという。NOAAのトム・カール氏は、「同報告書は次の研究段階への基礎。これらのデータがなければ、次のステップには進めない」と語る。

一方、アメリカ大気研究センター(NCAR)の上席研究員ケビン・トレンバース氏は、実際のデータを用いてはいても「地球温暖化に関する理論はまだ不完全」と指摘している。

 (編集・鶴田)