二胡という楽器

【大紀元日本6月13日】日本の書店に、練習用の付録DVDがついた二胡(にこ)の自習教材が並んでいるのを見た。 最近は、日本でも趣味で二胡をたしなむ人が増えてきたらしい。このまま普及すれば、あるいはギターやヴァイオリンのように、二胡が「世界楽器」の一員に加えられる日も遠くはないような気さえする。

そもそも日本で「二胡」という名で呼ばれるようになったのは最近のことで、それ以前には、胡弓というあまり正確でない名称で呼ばれていた。和楽器の中にも胡弓というものがあるので混同しやすいが、実は中国楽器の胡弓にもいろいろな種類があって、大きいものから順に中胡、二胡、板胡、高胡、京胡などとなっている。小さいものは音がかん高く、用途としては京劇の伴奏などに限られてくる。

その中でも最も多くの人に愛好され、独奏用としても立派に使用できるものといえば、やはり二胡(中国音はアルフ)ということになるだろう。

弦はわずか2本。その2本の間に、馬の尾の弓が入って音を奏でる。この状態であるから、本体と弓は分離できない。弓の摩擦部にはヴァイオリンと同じく、松脂をよくこすりつけておく。楽器の大部分は紅木などの硬質の木でできているが、振動面に張られているのは昔ながらのニシキヘビの皮。これらが共鳴して、あの二胡独特のむせび泣くような哀切な響きを生み出すのである。

さて「胡」という字が入っているのでおおよそ想像できるが、元来これらの楽器は、中国の北方または西方に広がる漢民族以外の地域から伝えられたものである。中国では、千年以上前の唐朝のころから、その原型が認められるという。

それにしても二胡は不思議な楽器である。人の言語のように語るのだ。そんな二胡に魅せられて中国伝統文化に関心をもつ日本人が増えることは、喜ばしいことに違いない。

(穆)