【モンゴル「草点」便り】マンホールチルドレン③

【大紀元日本2月10日】美空ひばりさんの歌に、「東京キッド」(昭和25年)があります。親にはぐれた孤児(みなしご)・東京キッドが、けなげに明るく歌います。「右のポッケにゃ 夢がある、左のポッケにゃ チューインガム、空を見たけりゃ ビルの屋根、もぐりたくなりゃ マンホール」

モンゴルでも昔から、「子どもは宝」です。その子どもたちが捨てられ、マンホールのふたを開けて、もぐり込んでしまったのです。マンホールに別天地を求めたのは、子どもの幸せになりたい心でした。ウランバートルの街の子・マンホールチルドレンは、ゴミ箱をあさって食べ物を見つけます。遊牧民の生活技術を身に付ける環境は、もはやどこにもありません。さまよう大人になるしかないのです。

東京キッドには親と再会する、希望のエンディングがありました。モンゴルキッドには、それはありません。子どもが不幸であることは、どこの国においても悲しいことです。「地球の笑顔と出会いたい」そんな願いにまっしぐら・・・NPO法人・Meet the Smilesが、マンホールチルドレンの自立支援に取り組んでいます。

Meet the Smiles のビジョンと活動は「モンゴルのストリートチルドレンの自立を応援し、彼らを取り巻く環境を改善し、生み出す原因となる社会の改善と自然環境の再生を目指す」ことです。モンゴルの子ども達の自立支援と、草原の再生を応援することが、活動の大きな目標になっています。

Meet the Smiles が継続的に支援している施設があります。日本で活躍する歌手のオユンナさんが95年に設立した孤児院「ティムーレル」や、ストリートで身体を売っていた少女達を保護することから始まった施設「バダムリャンホア(蓮の花)」、編み物や革製品や木工の技術指導をする「市立労働教育トレーニングセンター」などを定期的に訪問して交流を温めます。一人ひとりの心と笑顔に届くように、物心両面の支援が目指されているのです。

孤児達の栄養状態を改善するための取り組みも始まっています。第一号ビニールハウス野菜作りが、ティムーレルで昨年初めて成功を収め、今後のモデルケースとして関係者に満面の笑顔が広がりました。ハウス野菜を育てる根気の要る作業が、子ども達の心を癒してゆくことも見逃せません。遊牧民は基本的に農業をする習慣がありません。それでもウランバートルなどの都心部では、中国からの野菜なども食卓にのぼり、肉食中心から脱出する兆しが見られます。世話して育てた野菜を頬張る、マンホールチルドレンの微笑ましい笑い声は、現代のモンゴルに何かを訴えています。

Meet the Smiles は2006年、東京都光が丘公園で実施されたハワリンバヤル(春の祭り)主催・在日モンゴル留学生会で、モンゴルと日本の友好を深めるモンゴルオープンカレッジ「モンゴルの昔と今と未来を知ろう」に取り組み、知らなかったモンゴルの姿を伝える活動をさらに一歩進めました。2005年モンゴル「MUSIC AWARD」女性新人賞を受賞した、オットゴーさんの初ライブ(大きな古時計のモンゴル語カバーは必聴)もこの時に実現させました。

日本とモンゴルの架け橋として、マンホールチルドレンと日本の子ども達が対面する地球の笑顔の輪が、Meet the Smilesの活動によって一層広がっていくことを願わずにはいられません。

(ヤポンバヤル)