ハンター氏、中国軍と繋がりの中国人実業家と取引 ジョー・バイデン氏も関与か

2020/10/18 更新: 2020/10/18

ニューヨーク・ポストが入手した電子メールによると、ハンターバイデン氏は、中国軍とつながりのある中国のエネルギー大手企業との取引で、何百万ドルもの支払いを受けていた。この取引には父親のジョー・バイデン氏も関与していると同紙は報じた。 

国際コンサルティング会社、J2cRのジェームズ・ギリアー(James Gilliar)氏が2017年5月13日にハンター氏に送ったとされるメールには、ある取引におけるハンター氏を含む6人の人物の「報酬パッケージ」の詳細が記されていた。取引の詳細は明らかではないが、現在は倒産している中国の大手石油会社、中国華信能源(CEFC China Energy、以下華信)が関与しているとみられる。

前副大統領で、現在の民主党大統領選候補であるジョー・バイデン氏の次男であるハンター氏は、同メールで「華信との合意次第で」新しい会社の「会長または副会長」になり、報酬は「850」と書かれていた。

ギリアー氏にこの件に関するコメントを求めたが、すぐには回答を得られなかった。

また、このメールには「仮契約」と記された内容がある。ハンター氏の名前と思われるHと記された人物は、新会社の株式の20%を保有し、Hは更に10%を「ビッグガイ(Big Guy)」のために保有すると書かれている。このメールでは、「ビッグガイ」が誰であるかは明らかになっていないが、「ビッグガイ」はハンター氏の父親ジョー・バイデン氏のことを指していると、FOXニュースは報じた。

ギリアー氏はまた、華信の常務取締役だった臧建軍氏の名前をあげて、「何か足りない点があれば、臧氏と細かな交渉もできるので、知らせてほしい」と書いている。

上海を拠点とする華信は、2018年に中国政府の腐敗一掃キャンペーンの標的になるまでは、中国最大の民間石油会社だった。同社はロシア、東欧、アフリカの一部で数十億ドル規模の事業を手がけていた。創設者で会長の葉簡明氏は、中国共産党の上層部と親密な関係にあった。

葉氏は「経済犯罪」の容疑で中国政府の捜査を受けて拘禁された後、2018年初頭から行方不明となっている。中国の財新メディアによると、華信は2019年3月から国有企業が管理することになり、2020年初めに破産を申請したという。

2017年8月2日にハンター氏が香港の金融業者・董功文氏に送った別のメールでは、ハンター氏は以前華信と3年間の契約を結び、年間1000万ドルを「紹介費」として受け取っていたことが明らかになった。

最近の上院報告書によると、董氏は葉氏のビジネスパートナーであり、葉氏の会社の取引を担当していたという。

しかしその後、葉氏はさらに利益の高い取引を持ちかけ、「ハドソン・ウエスト(Hudson West)」という持ち株会社の50%をハンター氏に、葉氏が残りの半分を所有することになったと、メールには記されている。

「コンサル料は私たちの収入源の1つだ。加えて、会長(訳注・葉簡明氏)の提案が私と私の家族にとって興味深いのは、合併事業の投資の持ち分と利益のパートナーにもなるということだ」とハンター氏は記している。

ニューヨーク・ポストが入手した、2017年8月1日の手書きの組織図の写真には、ハドソン・ウエストの所有権の概要が示されている。それによると、同社は半分ずつ2つの事業体に所有されており、2つの事業体はそれぞれハンター氏と、「会長」という人物によって所有されている。

上院報告書によれば、ハンター氏の法律事務所であるオワスコPC(Owasco PC)は、ハドソンウエストⅢ(Hudson WestⅢ)という会社の2つの所有者のうちの1つであった。ハドソンウエストⅢはその後解散した。

さらに、ハンター氏と董氏は2017年9月、ハドソンウエストⅢの名義で銀行でクレジット・ライン(信用供与口座)を開設した。この口座で発行されたクレジットカードは、ハンター氏、叔父のジェイムズ・バイデン氏と妻サラ・バイデン氏が利用できるようになっていた。彼らは「航空券、アップルストア、薬局、ホテル、レストランなどで複数の高額商品」10万ドル以上を購入したという。

ニューヨーク・ポストが入手したメールは、2017年4月にデラウェア州ウィルミントンにあるマック修理店に置き去られたノートパソコンハードディスクから出てきたものだ。

その後、FBIがノートパソコンを押収。修理店のオーナーは後に、ドナルド・トランプ大統領の個人弁護士である元ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニ氏にハードディスクのコピーを渡した。その後、ジュリアーニ氏はその内容をニューヨーク・ポストに渡した。ジュリアーニ氏は3週間かけてハードディスクの内容を検証したという。大紀元はハードディスクの内容を確認しておらず、この主張を独立に検証していない。

ジョー・バイデン氏の選挙陣営にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

堕落の石油王

華信の葉氏は、中国軍と深いつながりがあった。

上院報告書によると、葉氏は2003年から2005年まで、中国国際友好聯絡会(CAIFC)の副総書記を務めていた。

米連邦議会に設置されている米中経済・安全保障問題検討委員会 (USCC) が2018年に発表した報告書によると、中国国際友好聯絡会は中国軍の前総政治部のフロント組織である。総政治部は中央軍事委員会の政治機関であり、中央軍事委員会は軍隊を管理する中国共産党の機関だ。総政治部は2016年に政治工作部と呼ばれる新しい機関に取って代わられた。

同報告書は、「CAIFCは、国家安全部、民政部、外交部とも繋がっており、スパイが秘密情報収集活動を展開するプラットフォームとなっている」としている。

同報告書はさらに、「スパイを海外に派遣するだけでなく、CAIFCは外国の軍隊や退役軍人、実業家、元政治家らによる中国訪問も支援していて、訪問では通常、人民解放軍の選ばれた人物との面会がある」と付け加えた。

財新メディアは2018年3月、華信に関する詳細な報告書を発表した。華信の党委員会書記である蔣春余氏は以前、上海にある軍事警察学校の校長も務めた。中国のニュースサイト・新浪網によると、2017年8月に同警察学校は他の機関と合併し、人民解放軍南京政治学院となった。

中国のすべての主要企業は、自社のオフィス内に共産党委員会を設置している。

財新メディアによると、葉氏は2007年から2008年まで、上海振戎能源(Shanghai Zhenrong Energy Corporation)という会社の取締役会長も務めていた。上海振戎能源は3つの企業によって共同設立されており、そのうち2社は華信と珠海振戎(Zhuhai Zhenrong Corporation)である。

珠海振戎はイランと石油取引をして、米国のイラン制裁に違反したことから、2019年7月に米国から制裁を受けた。

財新メディアによると、華信は2011年に上海華信公益基金会を設立し、人民解放軍の上海警備区の元政治委員であった李光金氏を執行理事長に迎えた。また、同基金の常務理事には、元中央軍事委員会総本部副局長の王宏源氏が就任した。

台湾法務部調査局は、2018年7月発行の月刊誌「発展戦略」で、華信幹部数人が中国軍や中国政府と関係があることを明らかにした。

例えば、当時の華信の理事、そして紀律検査委員会書記だった熊鳳生氏は、東北部の吉林市にある人民解放軍空軍461病院の院長だったと同誌は指摘している。

華信の幹部の中には、中国政府や国有企業で働いていた人もいる。

同誌によると、華信の副総裁の一人である姜明生氏は、以前中国の中央銀行である中国人民銀行で働いていた。さらに彼は中国招商銀行上海支店で党委員会書記も務めていた。

華信の経済学者である潘峙鋼氏は、国家計画機関である国家発展改革委員会の国際協力センターで主任を務めていた。

ハンター氏は以前、雑誌ニューヨーカー(The New Yorker)2019年7月の記事で、葉氏を「怪しい人物」であるとは全く考えていないと語り、葉氏が調査され投獄されたことを「運が悪かった」と表現した。

葉氏はまた、香港とバージニア州アーリントンに非営利団体・中華能源基金会(China Energy Fund Committee)を設立し、国連との「特別なコンサル資格」を持っていた。

この団体の総書記は香港の実業家、パトリック・ホー何志平)氏だった。上院報告書によると、ホー氏はハンター氏のOwasco社でのクライアントでもあった。

2019年3月、ホー氏は華信の石油利権を確保するためにチャドとウガンダの大統領に何百万ドルもの賄賂を渡したとして有罪判決を受け、3年の禁固刑を言い渡された。

ホー氏の裁判が始まる数カ月前の2018年3月22日、ホー氏の弁護費用として100万ドルがハドソンウエストIII 社からOwasco社に送金されていたことが上院報告書で明らかになった。

ニューヨーク・ポストが入手した2017年9月の「弁護士契約書」では、ホー氏が弁護サービスの費用として100万ドルをハンター氏に支払うことに同意している。ハンター氏の2019年のニューヨーカーとのインタビューによると、葉氏が「米国の法執行機関がホー氏を調査しているのではないか、心配だ」と話した後、ハンター氏はホー氏の弁護を引き受けることに同意したという。

ホー氏はマネーロンダリング (資金洗浄) や海外腐敗行為防止法 (FCPA) 違反などで有罪となった。彼の刑務所での振る舞いが良かったため、裁判官は彼の投獄期間を短縮し、彼は今年6月に釈放された。

(大紀元日本ウェブ編集部)