大紀元時報

米技術研究者の「首つり自殺」ファーウェイ技術盗用絡みで 口止め殺人か

2019年03月07日 16時53分

「お母さん、これから毎週電話するよ。でも、もし1週間たっても僕から何の連絡もなければ、米国大使館に連絡してほしい。何かが起きたということだから…」母親メアリーさんの心配は、現実のものとなった。

2012年6月24日、米国籍の技術研究者シェーン・トッド(Shane Todd)さんはシンガポールの自宅マンションの部屋で首を吊った状態で発見された。警察は「自殺」と断定したが、家族は他殺を疑っている。

シェーンさんは、シンガポール政府傘下の技術研究所で、先端技術研究のプロジェクトリーダーを務めていた。この研究所は、ファーウェイと協力協定を結んでいた。家族は継続的に、自殺ではないとする関連の証拠や資料をシンガポール警察と米国当局に提出してきた。

米連邦検察局は現在、知財窃盗とイラン経済制裁違反の容疑で、ファーウェイを調査している。母親メアリーさんは「米当局が、私の息子の死とファーウェイの技術盗用について調査することを望んでいます」と大紀元の取材に述べた。

父親リックさんは公開書簡で、この息子の死とファーウェイとの関連性を調査すれば「いくつかの企業と政府が、いかに隠蔽工作を働いてきたかが暴露されるだろう」と書いている。

米国を危険に晒す依頼

 

電気工学の博士号を持つシェーン・トッドさんは、世界的に著名なシンガポール政府の科学技術研究機関であるマイクロエレクトロニクス研究所(Institute of Microelectronics、IME)に勤めていた。そこで、特殊なGaN(窒化ガリウム)開発を担当するプロジェクトのリーダーを務めていた。

2013年2月フィナンシャル・タイムズの報道によると、IMEは、米国本拠の技術開発会社ビーコ(Veeco)から数百万ドルでMOCVD(有機金属化学気相成長)システムを購入した。このビーコの技術は、民間でも軍事でも需要がある。

IMEはビーコから商用ライセンスを取得しているが、同時にファーウェイとも協力関係にある。このつながりが、ファーウェイにIMEを通じてビーコの技術を入手する機会を与えた。

亡くなったシェーンさんは、勤め先のIMEからファーウェイへの技術移転を手伝うよう要求されたと、両親に語ったことがある。

「僕は『ある中国企業』から、胸が悪くなるようなことを頼まれた」

シェーンさんは「米国国家の安全を危険にさらすような依頼」だったため、要求を拒んだという。その後、身の安全に危険を感じていると、米国にいる両親に伝えていた。

「お母さん、これから毎週電話するよ。でも、もし1週間たっても僕から何の連絡もなければ、(在シンガポール)米国大使館に連絡してほしい。何かが起きたということだから」メアリーさんは、息子の言葉を思い出して語った。

シェーンさんの言う「中国企業」とは、遺品であるハードディスク(HD)に残された記録で、ファーウェイであることが分かった。

心労に耐えかねて、米国へ戻るために、シェーンさんはシンガポールでの職を退くことを決めた。IMEへの退職届は60日前に出していた。

シェーンさんはシンガポールを離れる前に、米国防総省や航空宇宙局(NASA)からの依頼も受けている米国の調査機関ヌボトロ二クス(Nuvotronics)での再就職が決まっていた。年収10万5000ドル(約1100万円)という好条件だった。

「生きようとして抵抗していた」

 

突然の訃報を受けて、家族はシンガポールに渡航し、シェーンさんの自宅マンションの部屋に入った。家族は、シェーンさんが死の直前まで、折りたたんだ衣類などをトランクに詰める作業をしていたことに気づいた。米国への航空券は、机の上に置かれていた。

シンガポール警察はすぐさま「自殺」と断定した。シェーンさんが生前、身の危険を訴えていたと家族が話しても、警察は他殺の可能性を探らなかった。

メアリーさんらは、シンガポール警察に「自殺」を説明する調査報告書の開示を求めたが、警察はこれを拒んだ。

シェーンさんのコンピューターは、家族がシンガポールに到着する前に警察に押収されていた。しかし、家族は外付けハードドライブを彼の部屋で発見した。

シェーンさんは日ごろ、コンピューターのすべての情報をこのハードドライブに保管していた。このなかに、IMEでの仕事内容、ビーコの軍事利用できる技術、そしてファーウェイに関する記録も見つかった。

「神は救いの手を差し伸べてくれました」とメアリーさんは大紀元に語った。

シェーンさんの遺体が米国に輸送された後、両親は、死因調査の専門家に分析を依頼した。遺体にはあざ、ケガ、ひっかき傷などが見つかった。

「彼は生きようとして必死に抵抗したのです」メアリーさんは述べた。

 

「シェーンさんの死を自殺と断定することはほぼできない」ブラックバーン大学の名誉教授で刑事司法を専門とするデービッド・キャンプ(David Camp)博士の報告書にこう記されている。

シンガポール当局は現場に残された「遺書」から、シェーンさんは自死したと判断した。メアリーさんによると、遺書は手書きではなくコンピューターで印刷したもので「アメリカ英語ではなくアジア英語」のような書き方だったという。

メアリーさんは、シンガポール検察官から渡された「遺書」を読み、そのまま突き返した。「息子は自殺したかもしれません。だけど、この手紙を書いたのは息子ではありません」

キャンプ博士は報告で、遺書についても分析した。「西洋文化で育った人物が書く内容ではない。そのため、別の人が書いたものだろう」「書き手は、東洋文化を背景に持つ人と考えられる。例えば、中国…」

(つづく)

(文 ネイサン・スー/翻訳・佐渡道世)

関連キーワード
^