トランプ氏「米はWTO脱退も辞さず」、世界経済に打撃与える「ブラックスワン」なるか

2016/07/29 更新: 2016/07/29

米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏は24日、米NBC放送の「ミート・ザ・プレス」(Meet the Press)の番組に出演し、同氏が米大統領に選出された場合、米が世界貿易機関(WTO)から脱退する可能性を示唆した。

貿易保護主義や環太平洋経済連携協定(TPP)への反対を明言しているトランプ氏は、同番組で国際貿易について質問された際、「大統領に当選したら、海外に生産ラインを移した米国企業に対して30%の関税を課する」との政策方針を述べた。

またトランプ氏は、「もしWTOがこの政策に反発するなら、WTOと協議し交渉していくか、またはWTOから脱退する」と述べた。

トランプ氏はこれまでに、北米自由貿易協定(NAFTA)からも離脱の可能性を示している。

トランプ氏のこの発言に、米国内で議論が広がっている。米シンクタンクのプログレッシブ政策研究所(PPI)・貿易政策アナリストのエド・ガーウィン氏は、トランプ氏の貿易政策は「世界経済に前例のない混乱をもたらす。また米国経済を衰退させ、数百万人を失業させるだろう」と批判した。

今年初め、ブルームバーグやロイター通信などが今年の世界経済、世界金融市場に大きな打撃を与える「ブラックスワン」事件を予測した際、トランプ氏の大統領当選も含まれていた。

また、ノーベル経済学賞を受賞した米経済学者のポール・クルーグマン氏は今月14日、英国のEU離脱をめぐる国民投票の後、世界経済・金融市場を揺るがす「ブラックスワン」は中国経済とドナルド・トランプ氏だと指摘した。

「ブラックスワン」とは金融市場において、事前に予測できず、起きた時に市場に大きな衝撃を与える事象を指す。

一方、米国現地時間26日、前国務長官のヒラリー・クリントン氏は正式米民主党大統領選候補に指名された。

米CNN25日の報道によると、有権者への最新世論調査では、トランプ氏への支持率が44%で、クリントン氏は40%。また、CBSニュースが25日発表した支持率調査では、トランプ氏が42%で、クリントン氏が41%となっている。

ロイター通信の27日の報道によると、22日~26日までに行った世論調査では、トランプ氏への支持率は39%で、クリントン氏への支持率は37%、約24%の回答者が両者とも支持しないと答えた。

現在、米主要世論調査では、トランプ氏への支持がクリントン氏をリードしているという。

(翻訳編集・張哲)