【紀元曙光】2020年10月19日

浅草の初夏の風物詩である三社祭が、この土日、5か月遅れで開催された。
▼祭りは、本来、神事である。普段は奥殿にいる神様がお出ましになり、その乗り物である輿(こし)にのるから、これを敬して御輿(みこし)と呼び、丁寧語をもう一つ冠して「おみこし」ともいう。なお、神社のものは神輿、仏寺のものは御輿と書き分けている。
▼通常、日本人の社会道徳は、宗教的教義ではなく、武士道に由来する「恥の文化」によって保たれている。その点、お祭りのときは、「日本には神様もいるぞ」が思い出されるようで興味深い。もっとも日本には「かみさま」が多すぎるので、身近である分、かえって日常の意識として薄くなるようだ。唯一神を信仰するイスラムやキリスト教圏の人からすれば、日本人というのは、なんとも理解しがたい民族に違いない。
▼トラックの荷台に積まれた「本社神輿」が、ゆっくりと車道を進む。宮神輿ともいい、胴が白い布で覆われている。浅草神社には、たしか一の宮から三の宮まで3基あるはずだが、今年の「トラック神輿」は1基だけ。それでもよい。コロナ禍のなかでは、例年のような浅草の町全体が湧き上がる大祭はできないにせよ、可能なかたちで実施にこぎつけた関係者のご苦心を思い、敬意と感謝を捧げたい。
▼祭りに限らず各イベントの主催者が、どのように開催するか、はたまた中止かで頭を悩ます状況は今後も続くであろう。それでも病禍に負けない「気持ち」は強くもちたい。
▼欧州は、感染拡大の第2波に襲われている。毎度申すが、その病原を「中共ウイルス」という。