1万5000年前の人類も目撃した? はくちょう座の超新星爆発 宇宙に残る美しい痕跡

NASAハッブル宇宙望遠鏡は、「ベールのような」リボンが信じられないほどの速度で宇宙空間を裂く息をのむような光景を捉えました。約1万5000年前に地球上の人類も見た可能性があるもので、超新星爆発の残骸です。

はくちょう座ループとして知られるこの壮大な衝撃波は、巨大な死にゆく惑星から発せられ、今日に至るまで膨張し続けています。

ハッブル宇宙望遠鏡の驚異的な技術は、約2400光年離れた場所からのはくちょう座ループの画像を捉えています。

欧州宇宙機関(ESA)によると、その星は、太陽の約20倍の質量を持っていたそうです。その衝撃波は、中心から60光年にわたる範囲に広がっていて、今でも宇宙空間を毎秒約220マイル(350キロ)の速度で膨張し続けています。
 

約2400光年先にある「はくちょう座ループ」の一部を捉えたNASA/ESAハッブル宇宙望遠鏡の画像(ESA/Hubble & NASA, W. Blair, acknowledgment: Leo Shatz)

地球から見て、はくちょう座の中に位置することから「はくちょう座ループ」と呼ばれるようになりました。ハッブル越しに見えるのは、超新星の外縁です。

これは、超新星の物質が、衝撃波の外縁にある低密度の星間物質に衝突し、塵やガスを加熱して圧縮し、「ベール」のような構造になるため、人間の目にも見えるのです。

NASAによるとはくちょう座ループの全体の爆風波は、満月の36倍の大きさの面積にまで広がっています。

最新の画像が8月にNASAによって公開された後、科学ライターのコリー・パウエル氏はTwitterにそれを投稿し、次のようにキャプションを付けました。「1万5000年前、人々は輝かしく光るはくちょう座を見ていたでしょう。これは言語が生まれる以前のことですが、宇宙はその衝撃の美しい記録を残していたのです」

ハッブル宇宙望遠鏡は、望遠鏡が打ち上げられてから1年後の1991年に、「はくちょう座ループ」の最初の画像の撮影に成功しました。当時、望遠鏡の主鏡の初期の問題があり、画像がややぼやけたものになっていました。しかし、軌道上での継続的なメンテナンスができるように設計されていたため、宇宙飛行士は望遠鏡のハードウエアを交換したり、アップグレードしたりするために何度も望遠鏡の修理作業を行っています。

今日では、はくちょう座ループの見事な金色のリボンが、これまで以上に鮮明に見えるようになりました。

2009年5月13日、スペースシャトル「アトランティス」がロボットアームでハッブルを掴んだ直後に、サーヴィシングミッション4のクルーが撮影したハッブル宇宙望遠鏡(NASA/JSC/Wikimedia Commons)

 

(大紀元日本ウェブ編集部)