米、中国24個人・企業に制裁 国務省高官「関連国の主権維持を支援」

2020/08/27 更新: 2020/08/27

米国務省高官は8月26日、中国の企業や個人に対する制裁は、中国の南シナ海の軍事化に対する米国の強い反対を示し、米国は南シナ海地域の関連諸国による主権維持に支援を続けると語った。

政府系メディア、ボイス・オブ・アメリカ (VOA) の電話取材に応じた匿名の国務省高官は、このほど公表された中国24企業に対する制裁について述べた。「東南アジア諸国への支援を強化し、領有権を主張し他の国を妨害する、強引で恥知らずな北京の行動への深い懸念を示すためだ」と答えた。

26日、米国は中国の南シナ海での人工島の建設と軍事拠点化に関わる中国の企業を実質上の取引禁止組織「エンティティ・リスト」に追加し、さらに一部の中国人にビザの発給を制限した。

国務省高官は、リストに追加された中国交通建設(CCCC)の子会社が「汚職、略奪的な融資、環境破壊などの不正行為を世界中で行っている」と説明し、中国の国有企業が南シナ海の建設と軍事拠点化に深く関わっていると述べた。CCCCは一帯一路事業を主に請け負ってきた国有企業。ほかにも、広州海格通信集団や中国電子科技集団などもリストアップされた。

米商務省の禁止令では、制裁を受けた企業は米国の輸出規制の対象となり、米国企業と取引するには商務省から別途許可を取得する必要がある。

商務省高官はこの制裁に関する会議のなかで、制裁対象の企業による米国の輸出額は過去5年間で約500万ドルに達すると明らかにした。「許可要件はハードウエア、ソフトウエア、材料、設備、技術など、輸出管理規則の対象となるすべての品目に適用される」とした。

米国務省はまた、南シナ海の人工島の建設、南シナ海の紛争地域の軍事化、東南アジアの主権国への威嚇などの行動に「責任を負うべき、または共謀した」個人に対して、訪米ビザに制限を課す。

米シンクタンクの戦略国際問題研究センター(CSIS)の南シナ海専門家グレゴリー・ポーリング(Gregory Poling)氏はVOAに対し、米国の制裁による経済効果は限定的かもしれないが、米国がより多くの行動を取る用意があるというメッセージを示したと述べた。

「中国の南シナ海域での違法行為に、米国はますます関心を寄せている。中国の行動を変えるため圧力を強めたいと考えている」

南シナ海の主権をめぐる多国間紛争は何十年も続いており、中国、台湾、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インド、ブルネイなどが主権を主張している。

中国は近年、南シナ海地域で他国漁船や調査船に対して何度も攻撃的な行動をとったことや、紛争地域の島を埋め立てて軍事設備を建設する動きを加速させている。

2013年以降、中国は国有企業を通じて南シナ海で3000エーカー以上の土地を埋め立てた。そのうえ、防空施設や地対艦ミサイル発射施設、滑走路を建設した。

7月、南シナ海の領有権問題について、米政府が初めて立場を明確に表明した。ポンペオ米国務長官は、南シナ海における中国の領有権主張は「完全に違法」だと発言した。南シナ海は貿易においても戦略的な位置にあるため、米国は重要視している。

ポンペオ長官は今回の制裁発表で「中国は南シナ海の情勢を不安定化させ、近隣諸国の主権を踏みにじり、環境に甚大な被害を与えている」と批判した。

ウィルバー・ロス米商務長官は、中国企業の制裁について「米国および中国の近隣諸国、国際社会は南シナ海に対する中国共産党の主張を受け入れず、人工島を建設する中国軍の行動を非難する」と述べた。

(翻訳編集・佐渡道世)

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