香港が新冷戦の最前線 専門家「各国は自由か独裁かの選択を」

2020/07/17 更新: 2020/07/17

中国当局は6月末、香港市民の抗議や欧米各国の反対を無視し、香港に国家安全維持法を導入した。中国時事評論家は、中国共産党政権と米国をはじめとする西側諸国の新冷戦がすでに勃発した今、香港はその最前線となったと指摘した。香港では、中国の全体主義体制と欧米の自由民主主義体制の間で今、生死に関わる決戦が始まっている。

包囲網

中国当局が7月1日、香港で国家安全維持法を施行してから、欧米各国は非難声明を出し、制裁を辞さない姿勢を示した。

7月14日、トランプ米大統領は香港に対する優遇措置の撤廃に関する大統領令に署名した。また、大統領は記者会見で、香港市民の権利を弾圧する中国当局者らに制裁を科し、香港に警察の装備や軍事・民間両用技術の輸出を禁止すると述べた。

同日、英政府は国内通信企業に対して、今年末以降は中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の第5世代移動通信システム(5G)設備の購入を禁じると発表した。英政府はまた、通信企業がすでにファーウェイの設備を購入している場合、2027年までに通信網から撤去するよう要求した。

米国、英国、豪州、カナダ、ニュージーランドで構成する機密情報共有枠組み、ファイブアイズの外相は7月8日、テレビ会議を開き、香港国家安全維持法の導入について意見を交換した。豪州のペイン外相は「われわれは人権と自由のために協力していく」とツイッターに投稿した。

米、豪、カナダ、ニュージーランドの各政府はすでに、香港との犯罪人引渡し条約を撤廃した。英政府は、最大300万人の香港市民を対象に英国の永住権や市民権を与える方針を示した。豪とカナダ政府も同じく、香港市民のビザ延長や移住を検討している。

新冷戦の最前線

豪シドニー工科大学の馮崇義教授は、香港は現在、中国共産党と西側諸国が対峙する最前線となったと大紀元に語った。「香港は、民主主義の欧米各国と全体主義の中国共産党が対戦する主戦場になっており、今後、香港を基に対戦が全面的に展開していくだろう」

米トランプ政権は中国当局に対してますます強硬的になっている。馮氏は、今後、米政府による中国当局への制裁がさらに拡大するとの見方を示した。

「トランプ政権内の高官の大半は対中強硬派で、共産主義のイデオロギー思想についてはっきりとした認識を持っている。それに、中共ウイルス(新型コロナウイルス)をめぐる中国当局の情報隠ぺいで、感染が世界各国に拡大した。現時点で米国には世界最多の感染者が出ている。感染拡大で、トランプ氏は公約の一部を実現できなくなっている。しかし今、米国民の多くは、トランプ氏の対中制裁を支持している」

馮教授は、中共ウイルスのまん延と香港での国家安全維持法の導入によって、「米国をはじめ各国は、中国共産党からの挑発に応戦しようと決心した」とした。最近、各国政府の対中態度の変化はこれの現れだという。

教授は、過去、西側各国は経済利益のために、中国当局による民主主義への挑発を見て見ぬふりをし、中国との直接対立を回避して、宥和政策を推し進めてきたと指摘した。しかし、「ますます多くの西側の人々が、中国共産党との対戦は、生死にかかわる問題だと気付いている。これは、(全体主義と民主主義の)両制度の戦いで、2つの価値観の戦いでもある。今はその時である」

ロバート・オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は6月24日の講演で、米国が中国共産党をミスジャッジしたことは「1930年代、米国の外交政策における最大の失敗と言える」「トランプ政権の下で、米国はようやく中国共産党の行為が脅威であることに目覚めた」と述べた。

また、ポンペオ米国務長官は6月20日、オンライン会議形式で開催された「コペンハーゲン民主主義サミット」で発言した。

長官は中国共産党を痛烈に批判し、「欧州の一部の人々が、米国と中国のどちらかを味方に選ぶことを米国に迫られるのではないかと不安になっていることを知っている。しかし、実にそうではない。実際は、中国共産党が私たちにこのような選択を強いている。米国か中国かを選ぶのではなく、自由かそれとも独裁かを選ぶのだ」と述べ、「幸いに欧州の友人は今、目覚めた。米国は皆さんと共に戦っていく準備ができている」とした。

一方、中国当局が香港に治安機関「国家安全維持公署」を設置し、市民の抗議活動を取り締まろうとしていることについて、馮教授は「やり方は明王朝の特務機関、東廠(とうしょう)と同じだ。目的は、香港の民主主義制度を破壊し、香港を中国本土の一つの町にすることだ」と糾弾した。

日米欧17カ国の国会議員は6月4日、対中政策に関する列国議会連盟(Inter-Parliamentary Alliance on China、IPAC)を立ち上げ、中国共産党への包囲網を構築した。

(記者・駱亜/張頓、翻訳編集・張哲)

関連特集: