米税関、人の毛髪を使った製品13トン押収 新疆での強制労働の疑い

2020/07/02 更新: 2020/07/02

米税関・国境警備局(CBP)は、ウイグル強制収容所での労働および強制労働に関わった疑いがあるとして、中国からの輸入品である人の毛髪を使ったかつらやウィッグなど13トンを押収した。推定価格は80万ドル(約8600万円)以上になるという。

CBP貿易部門のブレンダ・スミス事務局長補佐官は6月17日付の声明で、これらの毛髪製品の生産は深刻な人権侵害に当たるとし、押収命令を発令したと説明した。同局は輸入会社に対して、製造過程で強制労働が行われてない証拠を提出するよう求めている。

AP通信などによると、米当局は製品に使用された毛髪がウイグル族の女性から強制的に取られたと考えているという。

「米国と取引するすべての事業社に対して、米国のサプライチェーンにおいて、違法で非人道的な行為は許されないという明確かつ直接的なメッセージを送る」とスミス補佐官は付け加えた。

米税関によると、同製品は、中国新疆ウイグル自治区洛浦県にある「美馨髮製品有限公司」(Meixin Hair Product Co. Ltd.)が輸出している。最近、人権侵害加担の疑いがあるとしてブラックリスト入りしている企業だ。新疆には、中国政府が少数民族ウイグル人を大規模に収容する施設が複数ある。

米税関は5月1日にも、別の企業で和田浩林髮飾品有限公司(Hetian Haolin Hair Accessories Co. Ltd.)から輸出された、人の毛髪を使った製品を押収した。この会社も新疆にある。貿易情報を公開するデータ会社DESCARTES Datamyneによると、同会社は2019年5月から2020年4月までに、対米輸出91回を行っている。

税関の発表を受けて、米国家安全保障会議(NSC)のジョン・ウリオット(John Ullyot)報道官は、「この13トンの毛髪とウイグル強制収容所との関連が明らかになった場合、中国共産党にとって最悪の事態となる」と述べた。

新疆ウイグル人に対する人権侵害を告発してきたドイツ人研究者アドリアン・ゼンツ氏は6月29日、中国政府はウイグル人の人口抑制策として、女性に対し不妊手術、子宮内避妊具の装着、中絶などを強制しているとの調査報告を発表した。

AP通信の調査によると、新疆ウイグル自治区の出生率は近年、大幅に下がっており、 2019年には24%近く低下したという。

6月17日、トランプ米大統領はウイグル族弾圧の責任が認められる中国の当局者に制裁を科すよう政権に義務付けるウイグル人権法案に署名した。

(翻訳編集・佐渡道世)

関連特集: