大紀元時報

焦点:SNS標的の米大統領令、「実効性なし」の指摘も

2020年05月29日 11時34分
5月28日、トランプ米大統領は、自身が主張する「ソーシャルメディアによる検閲」を規制しようとしている。写真はホワイトハウスで撮影(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)
5月28日、トランプ米大統領は、自身が主張する「ソーシャルメディアによる検閲」を規制しようとしている。写真はホワイトハウスで撮影(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 28日 ロイター] - トランプ米大統領は、自身が主張する「ソーシャルメディアによる検閲」を規制しようとしている。しかし法律専門家によると、これは単なる政治的な行動にすぎず、ツイッター<TWTR.N>やフェイスブック<FB.O>などの会員制交流サイト(SNS)が守るべき法的義務はこれまでと変わらない見通しだ。

トランプ氏は28日、通信品位法第230条で認められたSNS運営会社の免責範囲見直しを求める大統領令に署名した。現在はユーザーが違法なコンテンツを投稿してもSNSは法的責任を問われず、一方で合法的であっても、わいせつや、過剰な暴力や、嫌がらせなど好ましくないと判断した投稿を削除できる。

大統領令について、連邦通信委員会(FCC)が230条見直しを受け入れるかは不透明だ、と法律専門家は話す。またたとえFCCが何らかの規制を導入しても、230条の適用を実際に判断する裁判官に対する法的拘束力はないだろう。

スタンフォード大学のインターネット関連法専門家、ダフィネ・ケラー氏は、大統領令は具体的な法的根拠や法的影響力などまったくなく、「95%が政治的演出」の産物だと切り捨てた。

表現の自由をうたう合衆国憲法修正第1条を扱う弁護士のマーク・ランダッツァ氏は、トランプ氏が抱く、SNSによる検閲への懸念には同意しながらも、大統領令のほとんどの部分は実行されないとみている。

ランダッツァ氏は「これは実際に何事かをなすための青写真というよりも、指導者の声明、もしくは訓示の意味合いが強い」と述べた。

ツイッターのヘビーユーザーとして知られるトランプ氏はかねてから、ツイッターを含むSNSが保守派の意見を封じてきたと不満を表明している。ツイッターは大統領令署名の2日前に、トランプ氏の郵送投票に関する投稿に真偽確認(ファクトチェック)を促す警告ラベルを付け、誤りの可能性があると警告した。トランプ氏の投稿にこうしたラベルが付けられたのは初めてだった。

230条に基づいてSNSが投稿を規制することが一般に合法とされるのは、合衆国憲法修正第1条が表現の自由を求める対象は政府機関の当局者であって、民間企業ではないからだ。

一方今回の大統領令は、SNSが投稿を不適切に規制している場合にはSNSは免責されるべきでないと説明し、商務省に対し、FCCに230条の運用を明確化させるよう指示している。

ただ専門家は、大統領令の230条解釈が、幅広い範囲の免責を容認してきたこれまでの裁判所の見解と矛盾していると指摘。セント・ジョンズ大学のケート・クロニック教授は「大統領令の多くの部分は『こけおどし』だ。25年におよぶ判例を基本的に考慮していない」と説明する。

クロニック氏は、FCCの弁護士も裁判所の見解は重々承知しているので、どう折り合いをつけるか、向こう数カ月悩むのではないかと予想。FCCが、裁判所に却下されるのが明らかな措置を講じたいと思うかどうか、不明だとの見方を示した。

逆にFCCが規制に動けば、それに異議を申し立てる訴訟が起こされそうで、トランプ氏が勝訴する公算は乏しい、というのが専門家の見立てだ。

クロニック氏は、大統領令は実効性があろうがなかろうが、トランプ氏にとっては政治的な点数稼ぎの手段にすぎないとみている。

イェール大学法科大学院のジャック・バルキン教授は、トランプ氏が大統領としての権力を使ってSNSを脅し、そうすることで自分の投稿がファクトチェックの警告を受けないようにしようとしていると語り、大統領令は政治的な「威嚇射撃」という性格を帯びていると付け加えた。

(Jan Wolfe記者)

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