オーストラリア、対中人権協力プログラムを停止 3年間5.4億円の支援

2019/11/19 更新: 2019/11/19

オーストラリア外務貿易省は、中国の人権改革の推進を目的とした対中人権技術協力プログラム(Human Rights Technical Co­operation Program)を停止した。現地紙オーストラリアンが報じた。

同紙によると、このプログラムは外務貿易省により今年8月、停止していた。プログラムは、豪州議会人権委員会と中国外交部(外務省に相当)が20年あまり前に締結したもの。同プログラムにおける支援額は、 1997 年当初の 30 万豪ドル(約2千200万円)から、年々増額されており、現在3年間で合計740万豪ドル(約5.4億円)、年間約246万豪ドル(約1.8億円)が充てられている。

豪州政府は、同ブログラムを通じて、両国の人権問題について率直に話し合われているとして、中国の人権状況改善に長期的に貢献していると高く評価している。しかし 対話の内容と成果が公開されていないため、 国内では批判の声も少なくない。

外務貿易省は計画停止の報道を認めたが、停止の理由など詳細な説明はない。

豪州のマリズ・ペイン(Marise Payne)外務大臣は18日の議会で、「情け容赦は無用」とする中国共産党の新疆ウイグル政策の報道を受けて、「非常に懸念している」とした。「豪州政府は一貫して、中国政府に対して、新疆ウイグル自冶区における人権侵害および恣意的拘束をやめるよう要求している」と強調した。

中国政府は最近、豪州のアンドリュー・ハスティ(Andrew Hastie)議員とジェームス・ピーターソン(James Paterson)議員の訪中を拒否した。人権問題への追及が原因とみられる。2議員はかねてから、ウイグル族の大量拘束などの中国の人道問題を批判してきた。議員らは、中国の政策は植民地主義的であると述べていた。

豪州の対中国政策シンクタンク「チャイナ・マタース(China Matters)」の計画では、12月、別の議員と共に2議員は北京を訪問する予定だった。しかし、同所は「在キャンベラ中国大使館が、2議員を歓迎しないと発言した」ため、訪中計画は中止となった。

報道によると、中国大使館は2議員に対して「植民地主義だと決して批判したりしないように」「心から悔い改めて、過ちを繰り返さないように」警告したという。

2議員は大使館の要求を拒否し、人権問題への追及を弱めないとしている。情報安全保障委員会の委員長も務めるハスティ議員は、17日、豪メディアの取材に対して「われわれは国の独立性、国益、価値を代弁することで立ち上がらなければならない。何も悔い改めることなどない」とした。

同議員は以前、西側諸国が台頭する中国に対して「無頓着すぎる」と批判し、過去の大戦でフランスがナチス・ドイツの拡張について十分な防衛力を保持していなかったことと比較した。

チャイナ・マタースの代表アリステア・ニコラス(Alistair Nicholas)氏は、再び2020年春に計画を立て直すとしている。

(翻訳編集・佐渡道世)