中国の米農産品購入、市場の状況にも左右される=米NEC委員長

2019/10/18 更新: 2019/10/18

[ワシントン 17日 ロイター] – カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は17日、米中の「第1段階」の通商合意に含まれている400億─500億ドル相当の米農産品購入という中国側の「真剣な約束」について、最終的な購入額は民間企業や市場の状況にある程度左右されるとの見方を示した。

中国が農産品の購入額を保証したのかという記者の質問に対し「政府が指針を示しても、大部分は民間企業によって行われている。つまり市場の価格は変動する可能性があり、天候も変化する。ブタの深刻な感染症の問題もあった。それでもなお、非常に真剣な約束だ」と指摘した。

米農産品に関する非関税障壁や中国市場へのアクセスを阻む基準については、中国が譲歩することに期待感を示した。

カドロー委員長はCNBCとのインタビューで、通商協議に弾みがついており、11月もチリで開催するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、第1段階の合意が署名される可能性があると述べていた。

また、強制的な技術移転を巡る問題は「第2段階」でカバーされる必要があると語った。

第1段階の合意について、トランプ大統領は16日、APECで中国の首脳と会うまでは署名しない公算が大きいとの見方を当初、示していたが、その後、マッタレッラ伊大統領との記者会見で「チリ(APEC)の前に署名することを望んでいる」と述べた。

カドロー委員長はCNBCとのインタビューで、米連邦準備理事会(FRB)の政策にも言及。FRBは「正しい方向に向かっている」とし、10月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、25ベーシスポイント(bp)の利下げは適切との見通しを示した。

同時に、FRBのスタッフはディープステート(闇の政府)の一部だとの考えを示唆。「FRBのモデルは大いに欠陥がある。闇の政府、つまりFRBスタッフがこれまで役に立っていないのは明白だ」と述べた。

インタビュー後、カドロー氏は記者団に、個人攻撃する意図はなかったとしながらもFRBのモデルは機能していないと改めて指摘した。

カドロー氏は、米国の失業率は3.5%に低下し、FRBが推定する不必要なインフレ高進につながらない持続可能な水準を既に下回っているが、インフレ率は何年も2%を下回って推移してきたと指摘。これは、これまでの景気動向が金融モデルからかい離していることを示していると論じた。

失業率が下がるとインフレ率が高まるという理論上の逆相関関係は、フィリップス曲線と呼ばれるモデルで示されている。

7人のFRB理事の任期は14年と、大統領職(2期8年)よりも長い。FRBは議会に定期的な報告は行っているものの、ホワイトハウスから独立し、雇用の最大化と物価安定の責務を果たすために金融政策を運営している。

*内容を追加しました。

Reuters
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