大紀元時報

専門家、15年積み上げた「臓器狩り証拠」明かす 東京で来日講演

2019年09月11日 11時00分
中国における臓器移植問題の廃絶に動く「SMGネットワーク」は8月9日、専門家による講演会兼第二回地方議員の会を開催。カナダからはデービッド・マタス弁護士、英国からはエンヴァー・トフティ氏を登壇者に迎えた(写真右はマタス弁護士)(写真・SMGネットワーク提供)
中国における臓器移植問題の廃絶に動く「SMGネットワーク」は8月9日、専門家による講演会兼第二回地方議員の会を開催。カナダからはデービッド・マタス弁護士、英国からはエンヴァー・トフティ氏を登壇者に迎えた(写真右はマタス弁護士)(写真・SMGネットワーク提供)

この文章は、中国の臓器収奪と売買を直ちに全廃することを掲げるSMGネットワーク(中国における臓器移植を考える会)の事務局長でジャーナリストの野村旗守氏による寄稿文です。


私が事務局を預かるSMGネットワーク(中国における臓器移植を考える会)は8月9日、参議院議員会館にて第2回地方議員総会を開きました。

当日はゲストスピーカーとして、中国臓器狩り問題に長年取り組むカナダの国際人権弁護士デービッド・マタス氏、それからウイグル出身の元医師で自身も強制臓器摘出に関わったという稀有の経験を持つアニワル・トフティ(エンヴァー・トフティ)両氏を迎え、約80名の聴衆が熱心に耳を傾けました。

第1部のマタス氏とトフティ氏の講演では、まずトフティ氏が登壇。ウイグルの現状を報告する動画を上映しながら、話を進めます。現在中華人民共和国のウイグル自治区ではすべての住民が中国共産党の監視下に置かれ、大変な苦渋を味わっている様子が伺えました。

病院の外で列をつくる人々、そして病棟内での血液検査……。 ここには老若男女さまざまなウイグル人が集められ、血液検査の順番を待っています。この場面で一部の人々の顔がアップになったところで、トフティ氏が「ここは写真を撮らないでください」と聴衆へ注意を促しました。極秘に撮影された映像ですので、万が一画像が流出して映された人々があらぬ嫌疑をかけられないとも限りません。

現在のウイグル自治区では、すべての成人男女に血液検査の義務が課せられているということは既に周知の事実です。そして、血液型が臓器移植手術にあたって欠かせない前提情報であることも知られるようになってきました。 

現在ウイグル地域には複数の再教育施設があり、この収容所が現在1兆円規模に膨らんだとされる中国臓器移植「産業」の最大の供給源であると指摘されています。長く中国の「臓器源」は99年から始まった法輪功迫害で捕らえられた修練者であるとされていましたが、それが近年ウイグル再教育キャンプの被収容者に移っています。すなわち、「数十万人規模」と言われた修練者の臓器はほぼ狩り終わってしまったので、新たな臓器源が必要となった――ということなのです。

マタス氏らの調査によれば、中華人民共和国では2000年から現在までのおよそ20年間で、100万件~200万件の移植手術が実施されてきた計算になります。マタス氏の同僚のキルガー氏の解説によれば、手術の件数と犠牲になった死者の数はほぼ同数ということです。 

最後に映し出されたのは、カットしたスイカを売る果物屋さんの写真です。よく見ると売り子の握る包丁が鎖で繋がれているのがわかります。共産党は彼の手にした包丁がいつ自分らに向かって来るかと恐れているのです。刃物だというだけで、日常生活のなかの包丁すら鎖に繋いでおかなければ気がすまない体制下での生活。現在我々の同胞はまるで国ごと鎖で繋がれているようだ――トフティ氏はそう言って故郷を憂いました。

トフティ氏に続いて登壇したマタス氏からは、昨年12月から今年6月まで、およそ半年間にかけてロンドンで開かれた「中国臓器狩り問題に関する国際民衆法廷」の経過をかいつまんで解説していただきました。ご存知の方も多いとは思いますが、マタス氏はカナダのウィニペグを拠点とする国際的な人権派弁護士であり、著述家であり、この中国臓器狩り問題を長年にわたって調査する研究者でもあります。2009年にカナダ勲章、2010年に国際人権協会スイス部門人権賞、2016年にガンジー賞など、多くの受賞経歴もあります。中国臓器狩り問題についてまとめた2006年報告書を『中国臓器狩り』(2009年)としてデービッド・キルガー氏と共著出版。さらに『国家による臓器狩り』(2012年)、『2016年最新報告書』を発表し、キルガー氏とともにこの問題に関する調査の功績から2010年のノーベル平和賞候補にも挙げられました。

英議会でも取り上げられた、臓器狩り問題

マタス氏、キルガー氏、そしてアメリカ人ジャーナリストのイーサン・ガットマン氏による詳細な報告は、国際民衆法廷期間中の英国議会でも取り上げられましたが、英外相の回答は小さな波紋を呼びました。

「著者たちは、疑惑を証明する犯罪の決定的証拠(煙の出ているピストル、つまりメス)がないために、仮定および厳格な調査技術には及ばない方法に頼らざるをえませんでした。このような仮定、特に統計的な仮定は、議員の方々のスピーチ内で言及されましたが、仮定に過ぎません」(3月26日、マーク・フィールド英外相の発言)

この発言に、マタス、キルガー両氏は強く反発しました。フィールド大臣の陳述は我々の調査を歪めて説明したものである――と。つまり、フィールド外相は2人が言ってもいないことを2人の言葉として神聖な議会で代弁したというのです。彼らによれば「2006年報告書」の本質的な内容はまったくその逆であり、自明の証拠のみを用いて構成されたものであるというのです。しかも、脚注2400のうち2200は中国の公的機関が発表した公的な情報源であり、確たる証拠に基づいたものであるのは間違いない――というのです。

世界各国で中国臓器狩り問題を解説して回っているマタス氏はパワーポイントを用いながら的確に、短時間のうちに要領よく要点を解説してくださいました。 彼らが最初の著書を出してから既に13年が経過しています。無反応、そして冷淡な対応は英国議会だけではない。「私たちはこのような反応に慣れている」 マタス氏はそう言います。

そして、多くの場合彼らが冷淡なのは、彼らの背後に中国共産党政権がいるからだ――と。各国政府、そして企業にとって、この中国臓器狩り問題は「不都合な真実」以外の何物でもありません。というのは、一旦この人類史上最悪の犯罪行為を認知してしまったら、彼らは最早平然と中国と外交を続けたり、取引したりすることは出来なくなります。過去約20年間にわたって100万~200万人もの無実の人々が一部の中共幹部の金儲けのために殺され、現在もまだ毎年数万、場合によっては十数万の無辜の民がこの国家犯罪によって虐殺され続けているといわれている――という真実を認めてしまえば、どんな冷淡な人間でも目を背けるわけにはいかないからです。

この冷淡、そして無関心を打ち砕くものはやはり彼らが15年以上の歳月をかけて積み上げた「エベレストほどの」証言と証拠資料の山です。マタス、キルガー、ガットマン……そしてその他多くの先駆者たちが積み上げてくれた証拠資料を少しでも多くの日本人に知ってもらいたいと、我々SMGネットワークは日々活動しています。
 
第二部、全国地方議員の会の総会ではまず代表の丸山治章逗子市議が挨拶。そして役員人事に関しては、丸山代表、三井田孝欧副代表、石橋林太郎副代表の3名が全員一致で再選されました。次に各地方の取組として、最近毎回数十人の観衆が足を運んでくれるようになった川崎市の例が当ネットワークの根本敬夫より、柏崎市と広島市の例が三井田、石橋両副代表より発表されました。


執筆者:野村旗守

著作家。1963年生まれ、立教大学卒。主に保守系論壇誌に寄稿。外国人向け雑誌編集者などを経てフリーに。主著に『中国は崩壊しない―毛沢東が生きている限り』(文芸春秋)『北朝鮮 送金疑惑』(文春文庫)、『Z(革マル派)の研究』(月曜評論社)、編著書に『わが朝鮮総連の罪と罰』(文春文庫)、『北朝鮮利権の真相』、『沖縄ダークサイド』、『男女平等バカ』(以上、宝島社)など多数。

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