離陸時にパニックに陥った自閉症の息子 母は居合わせた乗客とクルーに感謝

4歳の息子ブレイセンが、サンディエゴからヒューストンへのフライトの離陸直前に叫びだし、暴れまわり、自分の髪を引っ張り、パニック状態になったとき、母のロリ・ガブリエルは、息子との搭乗が拒否されるのではないかと覚悟していました。しかし、3時間半のフライトの末に、手書きの心温まるメッセージを目にして、彼女は乗客の真心に触れることになるのです。

ロリは、親切ユナイテッド航空のクルーと乗客たちに向けて、感謝のメッセージとともに、飛行機の通路に毛布をかけられて横たわる息子の写真をソーシャルメディアに投稿しました。

ブレイセンは、いつもなら飛行機に乗るのが大好きなのですが、その日は通路やファーストクラスの座席に座りたいと言って、激しく抵抗していました。ロリは、「暴れる息子を押さえつけて席に座らせるのはとても無理でした。どうしようかと困っていたときに、客室乗務員が、息子が席につかないと離陸できないと言ってきたのです。私はその乗務員に、息子が自閉症だということを伝えました」と語っています。

その後、ロリは、ブレイセンを抱えて座ることを許可されましたが、シートベルトのサインが消えてからは、またブレイセンが暴れ始め、抱えていられなくなりました。そして、床に横になったブレイセンは、近くの乗客の足まで蹴ってしまったのです。

ロリは、乗客はおそらく、同じフライトに乗ったことを後悔しているだろうと思っていました。しかし、それは杞憂でした。ブレイセンに足を蹴られた乗客は、ユナイテッドの職員だったのですが、嫌な顔はまったく見せませんでした。それどころか、「何かしてあげることはありますか」というような感じだったと、ロリは述懐しています。

ブレイセンは、乗務員の計らいによりファーストクラスの中に入ることもできました。ガブリエルは、ソーシャルメディアで、ファーストクラスの乗客に対して、「座席を蹴ったりしていたのに、息子と一緒に座ってくれてありがとうございました」とお礼を述べています。

また、ユナイテッドからの投稿も共有されました。「ご一家そろって空の旅を楽しんでいただけたご様子、嬉しく思います。私たち客室乗務員も、素晴らしいお客様たちとご一緒できましたこと、大変光栄です。息子さんのまたのご搭乗を心よりお待ち申し上げます」

ロリが飛行機を降りるときに、7Dの座席にいた乗客が、雑誌のページの隅に書いたメモを手渡しました。それには次のように書かれていました。

「あなたの強さは称賛に値します。迷惑をかけているなんて思わないで。息子さんは宝物です。あなたの忍耐、愛、献身、強さに神のご加護がありますように。あなたもあなたのご家族も支えられて愛されていることを忘れないでいてください。ユナイテッド社員より」

ロリはCNNのインタビューで、「誠意にあふれ、理解のある人たちがいるということが分かって、未来に希望が持てました。これからは、周りの目を気にせずに、私たち家族は、休暇でどこにでも出かけます。テーマパークだってどこだって、他の家族と同じように行けます。だって、真心にあふれた人たちがいるのですから」と伝えています。

(大紀元日本ウェブ編集部)