10年ぶりに撮影された 神秘的な砂猫

家で飼われている猫もコソコソしていてなかなかその生態がよく分からないことがありますよね。しかしそれよりさらに生態が捉えにくい野生の希少な猫が存在します。それはアラブの砂漠や北アフリカ、中央アジアに生息するアラビアン・サンド・キャット(アラビア砂猫)です。その捉えにくさといえば10年もの間、誰にも目撃されないほどなのです。

2015年の3月に科学者アシスタントのシャキール・アーメッド氏とアブダビの政府機関チームのメンバーらが、カメラでそのネコを捉えようと試みました。最後にネコが目撃されたのは、定かでないですが2005年頃と言われています。

アラビアン・サンド・キャットは夜行性で、日中の明るい間は寝ています。また、毛皮が砂の色と同じであるため環境に溶け込み、非常に発見しにくいのです。家猫とも大変似ているそのネコは、顔と足の周辺に一回り多く付いた毛皮で見分けることができます。その毛皮により、砂に足跡がほとんど残らなくなるため、さらに発見しにくくなるのです。

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シャキール氏と彼のチームにより5台の動作検出トレイルカメラがアブダビのバイヌナに設置され、チキンと魚の香りのキャットフードが置かれました。過去の調査によりネコはチキンのキャットフードの方をより好むことが分かっていたので、主にチキンのキャットフードを使用しました。

278夜を通して彼らは46枚の写真撮影に成功しました。3種類のサンドキャットを見つけ、その中の一匹はオスでした。そのネコはいずれも0時から6時の間に撮影されました。カメラで捉えられたうちの39%は満月の日でした。2005年に発見されたという不確かな情報以来初めての目撃でした。

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アラビアンキャットの非常に捉えどころのない特性から、科学者たちの間でも未だにその生態はよく知られていません。サハラ保護基金のジョン・ニュービ氏は「砂猫についての取り組みをしている科学者はいません。種の行動、個体数、状態についての評価もほとんど行われていません。サンドキャットは大変希少なのです」と述べています。

彼らは砂漠環境によく適応し、耳と足に砂を寄せ付けない特別な毛を持っていることが知られています。驚くべきことに、サンドキャットは水をのむ必要がないのです。狩りをして食べた鳥、爬虫類、哺乳類から水分を得ることができるからです。

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この神秘的なネコ科動物は、国際自然保護連合のレッドリストでは「近危急種」に、アラブ首長国連邦では「絶滅危惧種」に分類されています。主に土地開発によって生息地を失うことで生息数が減少していると考えられています。調査チームは、地元での生息数を近隣のオマーンやサウジアラビアの生息数と比較したりすることで、将来の保全戦略に研究が役立つことを望んでいます。

「野外調査をすることは、サンドキャットと生息地の保護計画をまとめるためにも、保護地域に変わりうる領域を特定するためにも非常に重要です。また科学者は、適切な保護地域を確保するために、砂猫がどのように生きているかについて、もっと研究を行う必要があります」とニュービー氏は述べました。

(大紀元日本ウェブ編集部)