死の間際チンパンジーがみせた ある人への反応

59歳で危篤状態のチンパンジーが、旧友の研究者と再会した際の心温まる瞬間をとらえたYoutube動画が広まっている。彼らの絆に心を揺さぶられ、涙すること必至だ。

59歳を超えた「ママ」は、オランダでは最年長、ヨーロッパ全土でも2番目の長寿のチンパンジー。1971年にドイツのライプツィヒ動物園から、オランダ・アーネムの王立バーガーズ動物園へやってきてから、群れのメスの間ではリーダー的な存在だった。

オランダの地方紙De Gelderlander紙によるインタビューで、園長ウィニケ・スクーはこう語る。「ママはとても友好的でした。誰かを傷つけることはなく、活発で、皆の仲を取りなす役でした。」

2016年5月にアップされた動画では、危篤状態の「ママ」が食べることも動くこともできず横たわっている。死期が近い事を案じて、オランダ人の生物学者、ユトレヒト大学の行動生物学名誉教授であるヤン・ファン・ホッフは、「ママ」を訪ねた。

霊長類の研究で知られるホッフは、王室バーガー動物園のチンパンジー群の創設者で、「ママ」とは1972年からの仲だ。

ホッフは力なくうずくまる「ママ」を優しく撫でて、食べ物を与えた。顔を上げた「ママ」は、彼が大切な友人だと気付いた瞬間、興奮して口を大きく開けて喜びの鳴き声を上げた。

優しくホッフの髪を撫で、愛情を込めて彼を見つめる「ママ」。そして、自ら腕を彼の首にまきつけ、優しく抱き寄せた。

これが、ホッフが「ママ」と会った最後の時となった。心温まる再開の後、間もなく、2016年5月「ママ」は息を引き取った。

「私が動物園を案内した人々の多くは、「ママ」を知っています。私たちがチンパンジーの区域に着くと、「ママ」はいつも一番遠くから走ってきて、大きく手を叩きながら「ウーウー!」と挨拶をしてくれました。」そうホッフは語った。

最後のお別れの様子は、ホッフによってYoutubeでシェアされ、視聴数は1000万回以上にのぼる。みんなが、「ママ」の愛情あふれる反応に心を打たれた。「泣くことなんて滅多に無いのに、31歳男泣き」、「誰か分かった瞬間にママの顔が明るくなったのに感動。大切に思ってくれる人がいたから、亡くなった時も満たされた気持だったはず。」とコメントが相次いだ。

「死ぬ間際のおばあちゃんが旧友と会えた場面みたい。あの頭に触れる仕草…生き物同士の真の絆だよ」こんなコメントも寄せられた。

「ママ」、安らかにお眠りください。これからもみんなが「ママ」の事を想っています。

(大紀元日本ウェブ編集部)