日米印比が南シナ海で初の共同訓練 対中を念頭に

2019/05/10 更新: 2019/05/10

米軍第7艦隊と防衛省は9日、5月3~9日に日本と米国、インド、フィリピンの海軍と海上自衛隊が、九州西方から南シナ海で共同訓練を実施したと発表した。4カ国の部隊が南シナ海で訓練を行うのは初めて。編隊訓練、通信訓練、乗換え、司令官の交流などを行ったという。

訓練に参加したのは米海軍の駆逐艦「ウィリアム・P・ローレンス」、インド海軍の駆逐艦「INSコルカタ」、補給艦「シャクティ」、海上自衛隊のヘリ空母「いずも」、護衛艦「むらさめ」、フィリピン海軍の哨戒艦「アンドレス・ボニファシオ」。6隻は、南シナ海の公海を通過した。いずもの艦上では、各艦司令官が集まり、交歓会が開かれた。

訓練に参加したいずもは、事実上の空母化改修が決まっている。産経新聞によると、「日本版海兵隊」と呼ばれる陸上自衛隊の離島奪還専門部隊「水陸機動団」の隊員30人も乗艦した。

米海軍公式サイトは第7艦隊の寄稿文「米軍とパートナーズは、共に南シナ海を航行」と題する記事を9日に発表した。記事は、志を同じくする多国籍海軍が共同訓練を行うことで、自由で開かれたインド太平洋全体の海上協力を促進すると伝えた。

「私たちのチームがこの多国間のイベントに参加できて光栄だ」と、米駆逐艦司令官であるアンドリュー・クルーグ中佐は述べたという。「地域の同盟国、パートナー、友人との専門的な関与は、お互いから学ぶだけでなく、既存の強固な関係を築く機会となる」と付け加えた。

海上自衛隊の第1護衛隊群・江川宏司令官は「米海軍と地域のパートナーとの共同訓練を行えたことは素晴らしい経験だ。相互理解と信頼の構築に加え、インド太平洋地域の平和と安定の強化にも貢献できる」と述べた。

「地域のパートナーとの友好と絆は、地域の平和と安定を維持するというコミットメントを強固にする」と、フィリピン哨戒艦のジェリー・Y・ガリドJr司令官は述べた。

第7艦隊は、日本の横須賀基地に司令部を置く米海軍最大の前方展開艦隊。公式説明では、自由で開かれたインド太平洋において、同盟国や友好国とともに安全保障を提供する。約50~70隻の艦艇と潜水艦、約140機の航空機と約4万人の海軍兵や海兵隊員を擁する。

このたびの4カ国共同訓練は、中国が実行支配する人工島周囲12カイリ(約22.2キロメートル)内を通過せず、中国をけん制する米国による航行行動「自由の航行」作戦ではないとみられる。しかし、米海軍軍艦は6日、南沙(スプラトリー)諸島周辺を航行させ、同作戦を実施した。中国はこの行動に「強烈な不満」を発表した。

米第7艦隊報道官は「行き過ぎた権利の主張に挑戦し、国際法に基づく航路への往来を守るためだ」とロイター通信に述べた。

(編集・佐渡道世)

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