アングル:米制裁下のベネズエラ、インド向け石油輸出に活路

2019/02/18 更新: 2019/02/18

[ヒューストン/メキシコ市/モスクワ 12日 ロイター] – 米国がベネズエラ国営石油会社PDVSA<PDVSA.UL>に対する新たな制裁を始めたのを受け、PDVSAは米欧向けの輸出をインド向けに切り替えている。

米欧向けの輸出は決済規制の影響を受けるため、インドを中心としたキャッシュ決済の買い手に焦点を絞る。ベネズエラにとってインドは米国に次いで2番目に大きい石油輸出先だ。

リフィニティブEikonのデータによると、米国が1月28日に制裁を発表してから2週間で、PDVSAは原油と精製油合わせて日量115万バレルの輸出が可能となっている。制裁前の数カ月間は、これが約140万バレルだった。

11日には、巨大タンカー2隻がベネズエラのホセ・ターミナルからインドの港へと出航した。

リフィニティブの海運データによると、他にもベネズエラ産原油や燃料を積んだタンカー数隻がアジアに向かっている。最終目的地は明らかでない。

<インド向けを倍増>

制裁前、PDVSAは米国に日量50万バレル以上、インドに同30万バレル強、中国に同30万バレル弱を輸出していた。

ベネズエラはケベド石油相をインドに派遣し、リライアンス・インダストリーズ<RELI.NS>やナヤラ・エナジー<ESRO.M3>などの製油企業に購入倍増を働きかけている。石油相は11日、インド企業に30万バレル以上を販売しているとした上で「これを倍増したい」と述べた。

PDVSAにとってリライアンスは重要なキャッシュ決済の顧客だ。一方、ナヤラは、大株主の1つであるロシア石油大手ロスネフチ<ROSN.MM>からベネズエラ産石油を受け取っている。

ロスネフチはまた、石油と融資を交換する制度に基づき、インド第2位の製油企業であるバディーナーにPDVSAの石油を供給している。

米国の制裁文書を読んだ弁護士や商社によると、ロスネフチはこの制度によって今後もPDVSAの石油を輸入し続けることが可能なはずだ。

モスクワの法律事務所幹部は「制裁前に締結した合意に基づいてPDVSAがロスネフチとそのインド子会社に出荷することは、制裁に抵触しない」と述べた。

インドの製油所はこうした石油の大半を吸収できる可能性がある。ただ、米財務省が定めた4月28日の期限以降、欧米の銀行システムを介さずにキャッシュ決済が実行可能かどうかはまだ定かでない。

ケベド石油相は、インドから医薬品などを購入する代金を原油で支払うバーター取引にも意欲を示した。

(Collin Eaton記者 Marianna Parraga記者 Olga Yagova記者)

2月12日、米国がベネズエラ国営石油会社PDVSAに対する新たな制裁を始めたのを受け、PDVSAは米欧向けの輸出をインド向けに切り替えている。写真はベネズエラ・ホセの原油ターミナル。撮影日不詳(2019年 ロイター/Jorge Silva)
Reuters
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