国際刑事機構中国人トップが行方不明 失脚の噂も

2018/10/05 更新: 2018/10/05

国際刑事機構インターポール)総裁で中国公安部副部長(次官)の孟宏偉氏は、赴任先のフランスから9月下旬に中国に帰国した後、行方不明になっている。フランス国際放送によると、現地警察当局は捜査を開始している。

警察当局によると、インターポール本部があるリヨン市に残る孟氏の妻が10月5日、同市警察当局に夫の失踪を届け出た。9月29日に中国に帰国した夫と連絡が取れないという。

匿名のインターポール関係者はAP通信の取材に対して、孟宏偉氏は北京に到着したのは確かで、警察のほかにインターポールでも調査を行っていると明かした。しかし、同広報担当者はこの失踪事案についてコメントをまだ発表していない。

インターポール総裁には、加盟する世界192の国と地域の警察公安当局幹部が就任する。2016年11月、中国公安部副部長を務める孟宏偉氏が就任した。中国人が総裁に就くのは初めてで、任期は4年。

孟宏偉氏に関して、中国国内では失脚の噂が流れていた。新華社通信は2018年4月、孟宏偉氏は公安部共産党委員会委員に再任しないと報じた。2017年12月には、国家海洋局副局長および海洋警備局局長を辞任した。

孟宏偉氏のインターポール総裁就任には当初から、公平性の懸念など議論を巻き起こした。習近平政権が国内外に展開する、腐敗した政治幹部の取り締まりキャンペーンを手伝うため、孟氏がインターポールの機密情報を乱用するのではないかと危惧された。

孟宏偉氏は2004年以来、公安部次官の席に座り続けており、江沢民派の共産党重鎮で元公安部部長の周永康(汚職で無期懲役)の直属の部下だった。公安部はおよそ20年間、江派が牛耳ってきた。

(編集・佐渡道世)

関連特集: