習近平氏、初訪朝を見送り なぜ栗戦書氏を派遣したのか

2018/09/08 更新: 2018/09/08

中国共産党中央対外連絡部は4日、9月9日に開催される北朝鮮建国70周年記念式典に党内序列3位で全国人民代表大会常務委員長(国会議長に相当)の栗戦書政治局常務委員を派遣すると発表した。習近平氏は2012年、党トップに就任後、初となる訪朝を見送った。背景には、北朝鮮の核問題や通商問題などで、中国に批判を強めるトランプ米政権への配慮があるとみられる。

米政権への刺激を避けたい

トランプ大統領は、進まない北朝鮮の非核化プロセスに苛立ちを見せた。8月29日、大統領のツイッター・アカウントで、ホワイトハウス声明を掲載した。声明では、「北朝鮮は米中貿易摩擦が原因で中国から大きな圧力を受けている」「同時に、中国が資金や燃料や肥料など、北朝鮮に多大な援助を行っていることもわれわれは把握している」と示された。

また同声明では、「大統領が望むなら、(米軍が)韓国、日本との軍事演習を直ちに再開することも可能だ。その場合には、規模が過去最大になるだろう」とし、中国と北朝鮮をけん制した。

トランプ政権が昨年発足後、大統領が公の場で、はじめて中国を名指しで批判した。これには中国当局への強い不満が見てとれる。

また、巨額な対中貿易赤字、中国企業による米ハイテク技術の窃盗、南シナ海や太平洋地域などにおける軍事力強化、欧米など民主国家への影響力拡大などで、トランプ政権は、中国当局への圧力を強めている。

トランプ大統領が今まで批判したきたのは中国当局だけで、習近平氏個人への非難は見当たらない。

ロイター(6日付)によると、大統領は同日ホワイトハウスで、「習近平国家主席を大いに尊敬している」としながら、貿易摩擦をめぐって中国との合意に達する準備が整っていないと述べた。「交渉を続ける」と強調した。

米中貿易交渉が難航するなか、訪朝によるトランプ大統領の反発を避けたものとみられる。

なぜナンバー3の栗戦書氏を派遣?

一方、習近平国家主席は側近の栗戦書氏を、特使として北朝鮮に派遣する。

栗戦書氏(68)は、80年代初期習近平氏が河北省正定県の党委員会書記(トップ)を務めていた際、隣県の無極県のトップであった。両氏は3歳差で年齢が近く、習近平氏は栗戦書氏を兄貴分として慕っていたと報じられている。習氏は2012年の党大会で党の最高指導者になると、栗氏を政権の大番頭である党中央弁公庁主任に任命した。習氏の側近中の側近とされている栗氏は昨年の党大会で、チャイナセブン入りを果たした。

米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)(6日付)によると、今年3回訪中した北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長は毎回、習氏の訪朝を要請した。その際、中国側が応じたという。

一部の海外中国語メディアは、米中関係を考慮して最終的に訪朝を見送った習主席が、最も信頼する栗戦書氏を派遣したのは北朝鮮への配慮だとの見方を示した。

さらに、北朝鮮は今回の式典に合わせて軍事パレードの開催も予想されている。新型ミサイルや核兵器が登場する可能性がある。シンガポール南洋理工大学李明洋准教授は海外メディアの取材に対して、「習近平氏が出席すれば、北朝鮮の核・ミサイル開発を支持していると解釈されかねない」とし、「自身のイメージダウンを避けたかったのだろう」と分析した。

チャイナセブンのメンバーが前回、北朝鮮を訪問したのは、2015年当時党内序列5位の劉雲山氏だった。劉氏は、同年10月10日の朝鮮労働党創建70周年記念式典にも出席した。

(翻訳編集・張哲)