難民巡るEU緊急会議、欧州全体での解決策見いだせず

2018/06/25 更新: 2018/06/25

[ブリュッセル 24日 ロイター] – 欧州連合(EU)は24日、移民・難民への対応を巡る緊急首脳会議をブリュッセルで開いた。ドイツのメルケル首相は、欧州全体での難民問題の合意が困難であることを認め、「2国間、3国間の協定」で対応する考えを示した。

移民・難民の受け入れ問題について正式協議する28━29日のEU首脳会議を前に開催された緊急会合には、16カ国が参加した。

EU首脳らは、国境管理の厳格化や、欧州に流入する難民数抑制に向けたEU域外の国への資金援助拡大を支持する方針。一方で、欧州に到着し、亡命を求める難民の受け入れを各国間でどのように分担するかでは合意できていない。

欧州に到着したばかりの難民の大半はドイツが受け入れることが多い。一方、メルケル氏は、難民受け入れ数を減らすよう連立相手から圧力をかけられており、より強硬な策を講じなければ政権が崩壊する可能性もある。

メルケル氏は会合前に、全加盟国28カ国の合意を待つのではなく、「2国間、3国間の合意」で対応できるとの考えを示した。

マクロン仏大統領もこの考えを支持するとし、欧州としての解決策であるべきだが、数カ国間の合意も可能だとの考えを示した。

難民問題の対応に長年苦慮してきたイタリアは、同国が難民の欧州への唯一の入り口になるべきでないとし、地中海で救助された難民の上陸の拒否を始めている。コンテ首相は、難民が最初に上陸した国がその難民の責任を負うことを義務付けた規定の撤廃を望んでいる。

ドイツでは難民対策を巡り政権内の亀裂が拡大。連立政権の一角を担うキリスト教社会同盟(CSU)は、EU加盟国間で難民受け入れをより公平に分担することを求めている。一方、ハンガリーやポーランド、オーストリアは難民受け入れの公平な分担に反対する立場。今回の緊急会合にポーランド、ハンガリーなど東欧4カ国は欠席した。

Reuters
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