中国、西アフリカに33億円超の資金援助 「政治的狙い」

2018/04/02 更新: 2018/04/02

アフリカに進出を拡大する中国当局は3月中旬、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS、加盟国15カ国)との間で、同共同体に対して3160万ドル(約33億4960万円)規模の資金援助を行う覚書を交わした。資金は、ナイジェリア首都アブジャでECOWAS新本部建設に充てられる。

ECOWASはウェブサイトで、3月14日フォール・ニャシンベECOWAS議長と周平剣・中国駐ナイジェリア大使は、アブジャのECOWAS本部で覚書署名式に出席したと発表した。

中国側は、新本部建設の資金を提供するほか、建設完成から3年間の建築物メンテナンス費用も負担するという。

一方、中国当局はECOWASへの資金援助を公表していない。中国の駐ナイジェリア大使館のウェブサイトでは、周大使とブルー議長との会談を報じたが、「双方の協力関係をめぐって意見交換をした」とだけにとどまり、援助について言及しなかった。

米メディアCNNなどの海外メディアは、中国の資金援助には政治的な狙いがあると報じた。

CNN(3月30日付)は、中国当局がアフリカ諸国の主権尊重と強調しているが、実は、中国側は資金提供を通じてアフリカ諸国の政策策定に介入しているとした。英セント・アンドルーズ大学のイアン・テイラー教授(アフリカ問題専門)は「ただのお土産はない」と指摘する。

中国当局は近年、台湾との国交を断絶し、代わりに中国との国交を樹立したアフリカの国々に対して、資金のばら撒きと経済協力を行っている。現在、台湾との国交を維持しているのはブルキナファソとスワジランドだけになった。

2012年、中国当局は、アフリカ55カ国が加盟するアフリカ連合の本部(AU)建設総工費2億ドル(約212億円)を負担した。また、16年シエラレオネのアーネスト・コロマ大統領は、中国当局が同国首都フリータウンにある、大統領が代表を務める政党「全人民会議(APC)」の本部ビル建設を約束した、と発表した。17年、中国はコンゴ共和国首都ブラザヴィルの総工費5800万ドル(約61億4800万円)の議会建設にも全額出資した。

CNNによると、米ウィリアム・アンド・メアリー大学に拠点を置くシンクタンク「エイドデータ(AidData)」の調査では、2000~14年まで中国の対外援助の7割がアフリカ向けだったと発表した。

中国当局は3月上旬、対外援助事業を管轄する「国家国際発展協力署」という政府機関を新設した。00年以降、中国の対外援助金額は数百億ドル(約数兆円)に上ったとみられている。しかし、対外援助の管轄機関はなかった。

一方、仏紙ル・モンドは今年始め、情報筋の話を引用し、中国当局がエチオピアのアディス・アベバに位置するAUの本部を建設完成した後、コンピューターシステムの設置に携わった際、同本部の情報データを中国上海のサーバーに転送したと報じた。また同紙によると、中国側はAU本部に盗聴器も仕掛けたという。

(翻訳編集・張哲)
 

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