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ナバロ氏の台頭 トランプ政権、より対中強硬に

2018/03/16 更新: 2018/03/16

ドナルド・トランプ氏の貿易アドバイザーで対中強硬派ピーター・ナバロ氏は、対中融和姿勢だった経済顧問の辞任後、現政権にさらに大きな影響力を持つようになるとみられる。

国家経済評議会理事(NEC)のゲリー・コーン委員長が3月6日に辞任した。鉄鋼やアルミニウムに急な関税を課すトランプ氏の決断をめぐり、コーン氏は大統領と溝が深まったと報じられていた。

トランプ大統領は16日、NEC次期委員長に保守派の経済評論家ラリー・カドロー氏を指名したことをツイッターで発表した。

辞任したコーン氏は、ゴールドマン・サックス銀行出身で、既存の貿易システムを支持していた。国家通商会議(NTC)のピーター・ナバロ委員長と1年間に渡り確執があったといわれる。

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ナバロ氏は、米国の貿易関係を再編するというトランプ氏の選挙公約を推し進める、政権内の主要な人物だ。

昨年エポックタイムス(大紀元英語版)に対して、ナバロ氏に近い情報筋は「中国とのビジネスには利益がある」と述べていた。また、ナバロ氏は政権方針を形作る上で、大きな役割を果たすだろうと、同筋は述べた。

対中国の見解

ナバロ氏は、中国は軍事だけではなく、経済ジャンルにおいても、米国に挑戦するという長期的見解を持っている。

ハーバード大学の経済学者で元カリフォルニア大学アーバイン校教授であるナバロ氏は、中国分析では異端とされ「最も人気のないエコノミスト」と呼ばれていた。

2016年にトランプ運動に参加する前、ナバロ氏はグレッグ・オートリー氏との共著「Death by China(仮訳:中国より破滅する)」(2011)と、ゴードン・G・チャン氏との共著「Crouching Tiger(米中もし戦わば : 戦争の地政学)」(2015)の作者として有名だ。

両書とも、ドキュメンタリー映画化しており、広く報道されている。また両書とも、攻撃的である中国に対抗する必要性を警告する作品だ。

ナバロ氏は、著書「中国により破滅する」のなかで、中国は経済的台頭することで、自由で開放的な社会に向かわせるとの西側諸国の計画は「失敗する」との分析を示していた。

異端とされたナバロ氏の予想は、より現実味を帯びてきた。中国共産党政権は米国主導の貿易システムの恩恵を受けながら、世界の軍事的影響力を拡大させている。そして、豊富な資金を持つ権威主義国家となった。

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トランプ氏はナバロ氏の話を長年傾聴しており、また今では、ホワイトハウス内の役人たちにも、広く影響を与えている。

(文=ポール・ファン/編集・佐渡道世)

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