中国企業の金融商品投資、15年の2倍増、「リスクを懸念」=WSJ紙

2018/01/24 更新: 2018/01/24

中国株式上場企業1170社が昨年投資した金融商品規模が前年比49%増の1兆2400億元(約21兆3100億円)に達し、過去最高となった。海外メディアは中国のシャドーバンキングリスクの拡大に強い危機感を示した。専門家は、資金が企業ではなく金融市場に流れる現象は中国実体経済の脆さを表したと指摘した。

米紙・ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)(21日付)によると、中国金融データサービスの上海万得信息技術(Wind資訊)の統計では、昨年、中国上場企業が投資した金融商品規模は16年と比べて49%増、15年と比べては2倍増と示された。多くの金融商品は大手銀行によって発行され、満期までの期日は3週間から6カ月と短期型だ。

また、1カ月から3カ月の短期型金融商品の平均的利率は年率換算で4.9%となる。それに対して、中国の銀行の1年定期預金の金利は年1.5%だという。金融商品に投資した方が、企業にとって高利回りを得られる。

WSJは「一部金融商品の基礎となる資産の詳細が不透明だ」と指摘し、「銀行は、レバレッジを使って商品の利率を高めてきた」との見方を示した。金融商品を購入した大多数の企業は、銀行側が金融商品を担保にし、基礎となる資産の損失を負担していると考えている。

中国の中小銀行は、預金残高の不足が続いており、企業向けや個人向けの貸出が乏しいため、収益が低迷している。そのため、銀行は金融商品の販売を主力にし、企業から集められた資金を基に、流動性の確保を図り、貸出を増やして収益向上を図ってきた。一部の専門家は、この手法をシャドーバンキングの一つだと指摘している。

WSJによると、中国の銀行は金融商品を資産負債表に記入しておらず、金融商品の基礎となる資産やレバレッジの実態について公表していない。

専門家は、巨額な資金が高リスク商品に回っているため、銀行側が投資家に対して債務不履行(デフォルト)が発生すれば、投資者側の企業が損失を被り、銀行が破綻する恐れがあると指摘する。

中国経済評論家の文小剛氏は、中国の企業が金融商品に熱中しているのは、金融商品のほかによりよい投資先がないためだと分析。これは、中国の企業が設備投資や生産を拡大しても収益につながる見込みがないことを意味し、中国実体経済の基盤の弱さを浮き彫りにした。企業は金融市場での投資・投機によって短期間で収益を上げようとしている。

Wind資訊の統計によると、昨年最も多く金融商品を購入した企業は不動産開発業、製造業、食品生産業とIT業だという。

企業研究をする中国市場監督管理学会がこのほど発表した『企業年度報告(2016)』によると、16年に全国2200万社の企業のうち、収益が黒字となった企業は全体の28.5%で、収支とんとんの企業は32.3%、赤字の企業は38.7%だ。

この統計から、中国企業が低収益または赤字であるにもかかわらず、資金が実体経済に投入されていない現実を反映した。

(翻訳編集・張哲)

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